前のページ 次のページ

第3節 

5 道路構造の改善及び沿道環境の整備

 自動車交通騒音等に対する道路の面からの対応としては、道路の機能、交通量、沿道土地利用の状況等を考慮した道路構造の採用、遮音壁、環境施設帯の設置、緑化及び良好な路面の保全等を推進している。
 さらに、沿道周辺対策として高速自動車国道等の有料の自動車専用道路周辺の住宅のうち、騒音による影響の特に著しいものについて、緊急的措置として防音工事の費用の助成等の措置を講じており、54年度末において、約9,800戸について所要の対策を実施している。
 更に、幹線道路の周辺地域における生活環境の整備を促進するため、沿道整備要綱を定め、4車線以上の幹線道路周辺の主として住居系の地域において一定の計画に基づき実施される次のような事業について、その費用の一部を助成することにより促進を図る等の措置を講じている。
? 背後地に対して遮音効果を有する建築物の建築
? 自動車交通騒音を遮へいする機能をもった公園等の緩衝緑地の整備
 しかしながら、自動車交通公害に係る訴訟等が近年相次いでいることにみられるように、これら個別の施策の実施のみでは沿道環境問題の解決は困難なところもあり、このため、特に幹線道路の周辺においては、沿道の土地利用を道路と調和のとれた望ましい形態に誘導するための新しい制度を創設する必要があるとの観点から建設省では、54年8月、道路審議会及び都市計画中央審議会に「都市における特定の幹線道路の沿道において、道路交通騒音による障害を防止し、併せて適正かつ合理的な土地利用を図るための方策はいかにあるべきか」について諮問し、既存の対策の推進とともに、新たに、交通騒音の著しい幹線道路の周辺について、生活環境の改善を図るとともに、沿道の適正かつ合理的な土地利用を図るための、総合的な沿道環境整備制度を創設すべきであるとの答申を受けた。
 両審議会の答申に基づいて、必要な法制度の検討と昭和55年度の予算措置の要求を行い、第91回国会に「幹線道路の沿道の整備に関する法律(案)」を提出した。
 この法制度の概要は、道路交通騒音の防止、沿道の適正かつ合理的な土地利用を図るため、自動車交通量、道路交通騒音等を勘案して、沿道整備道路の指定、都市計画としての沿道整備計画の策定、これに基づいて市町村による沿道の土地買取りに対する国からの無利子貸付け、緩衝建築物の建築の推進、住宅の防音構造化等を図ることとしたものである。

前のページ 次のページ