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第3節 

6 監視測定体制の整備

(1) 公共用水域の水質監視
 環境庁においては、「水質汚濁防止法」に基づき、都道府県知事及び政令市長が実施する公共用水域の水質の常時監視のために必要な経費のうち測定計画の作成費及び公共用水域の水質調査に係る経費について、引き続き54年度においても助成を行った。この水質調査の対象水域は、環境基準の水域類型の指定が行われた水域(県際水域47水域、委任水域533水域)及びその他の水質監視の必要性の高い水域であり、調査の頻度は原則として、県際水域では1水域6地点、毎月1回以上、委任水域では1水域3地点、毎月1回以上となっている。また、建設省においても都道府県知事の作成する測定計画に従って河川管理者の立場から全国109水域の管理区間内水域について、水質汚濁状況をは握するとともに、水質の常時監視を実施した。
 公共用水域の水質の常時監視体制の強化を図るため公共用水域の重要地点における水質監視の自動化を推進する必要がある。このため、環境庁においては、都道府県、政令市が水質常時監視のために実施する水質自動監視測定機器の設置について、46年度以降助成を行っており、54年度までの整備実積は105か所となっている。一方、建設省においては、河川管理者の立場から全国の一級河川(109水系)の管理区間内水域について、54年度までに64水系123系か所に水質自動監視測定機器を設置するとともに、水質の集中監視を行うため、44水系140か所(うち監視局48か所)においてテレメータ装置を設置している。
 これら水質自動監視測定器については、自動測定項目が特定項目に限定されていること、機器の高度な維持管理が要求されること等からより性能が優れ、維持管理の容易な機器の開発が望まれている。
 このため、環境庁では54年度において、紫外線吸光度及び螢光光度を利用した有機汚濁の自動測定機器についての実用化試験のほか、水質調査のための公定分析方法等の能率向上を図るため、リン等の分析方法の検討並びに油分等の分析自動化の検討を行った。
 また、都道府県及び政令市における監視体制の強化を図るため、地方公害研究所等の水質分析機器の整備につき助成を行った。
(2) 排水の監視
 「水質汚濁防止法」に基づき、都道府県知事及び政令市長は、工場又は事業場の排水基準の遵守状況を監視するため、工場又は事業場に必要な報告を求め又は立入検査を行うことができる。これらの監視行為に基づき、都道府県知事又は政令市長は、改善命令等の必要な行政措置を工場又は事業場に行っている。環境庁においては、都道府県知事及び政令市長がこのために必要とする経費について助成を行った。

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