「公害対策基本法」第22条においては、公害対策推進の見地から、事業者は、その事業活動による公害を防止するために国又は地方公共団体が実施する事業について、当該事業に要する費用の全部又は一部を負担するものとされている。これを受けて、昭和45年12月に「公害防止事業費事業者負担法」が制定され、46年5月10日から施行されている。
この法律は、国又は地方公共団体が、しゅんせつ事業、汚染農用地の客土事業、緩衝緑地造成事業等の公害防止事業を実施する場合に、当該公害防止事業に係る公害について、事業者の事業活動が原因となると認められる程度に応じて、事業者に当該公害防止事業費の全部又は一部を負担させることを定めたものである。
53年12月末現在で、施行者から環境庁が報告を受けたところによると、法施行日以降これまでに「公害防止事業費事業者負担法」を適用して公害防止事業を実施したものは48件である。
第10-5-1表を見ると、公害防止事業費の合計は48件で約1,011億円、事業者負担総額の合計は約523億円となっており、平均負担割合は51.8%となっている。また、その内容は、しゅんせつ事業等の底質汚染防止対策事業が24件、客土事業等の農用地の土壌汚染防止対策事業が14件、緩衝緑地造成事業が11件となっている。
なお、53年の公害防止事業費事業者負担法の適用事例は第10-5-2表のとおりである。