(1) 日米環境保護協力協定に基づく活動
ア 日米合同企画調整委員会
この活動は、公害問題に関する世論が世界的に盛りあがった昭和45年に開催された日米公害閣僚会議に始まった。その後、50年には、「環境の保護の分野における協力に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」が締結された。この協定に基づく第3回日米合同企画調整委員会は、53年9月11日から13日までワシントンで開催された。
この会合では、日米両国代表の最近の環境政策に関する基調報告に続いて既存11プロジェクトの活動のレビュー、新規プロジェクトの設置に関する検討、有害物質の規制、鉄鋼業の公害防止策、エネルギーと環境の問題について討議が行われた。
この結果、?日米における水保全と流量削減、?水質管理規制、?環境経済学と公害防止のためのインセンティヴの3プロジェクトの新設が合意された。更に、化学物質の規制をはじめとする日米の環境保護の協力は、両国のみならず地球的視点からの環境問題解決のために貢献することが確認された。
イ 下部パネルの活動
日米環境保護協力協定に基づく専門的分野の活動としては、現在、既に11のパネルが設置され、各専門分野ごとの情報交換、会議の開催、専門家の交流等が図られている。53年度における主要な活動としては、第3回有害物質の識別と規制プロジェクト会合(9月、ワシントンにて開催)、第6回下水処理技術委員会(10月、ワシントンにて開催)、第4回有害底質の処理処分に関する専門家会議(10月、東京にて開催)、第4回大気汚染気象委員会(12月、ワシントンにて開催)、第4回廃棄物処理会議(3月、ワシントンにて開催)が挙げられるほか、各専門分野のパネル毎に情報交換等の協力活動が行われた。
(2) 日独科学技術協定に基づく活動
49年に締結された日独科学技術協力協定に基づいて、53年9月26〜28日、第4回日独科学技術合同委員会がボンで開催された。
この委員会の下部機構である、環境保護技術パネルが53年9月29日ボンで開催され、?閉鎖性水域における富栄養化、?廃棄物の分別、?有害物質の健康影響、?環境資料バンク(EnvironmentalSpecimen Bank)について討議が行われ、分野毎の活動をレビューするとともに、研究情報の交換、研究者の交流の増大等を含め、今後の活動の強化が合意された。
(3) その他
天然資源の開発利用に関する日米会議(UJNR)の一環として保全・レクリエーション・公園専門部会がある。この部会は、更に、?国立公園及びその他の自然公園、?野生生物の保護、?森林の計画及び管理、?都市公園とその他の都市問題の4分科会を持っており、53年10月及び11月には「都市公園とその他の都市問題」分科会を除く3分科会が米国で開催され、我が国から専門家が出席し、それぞれ、技術的な個別問題を討議した。
さらに、53年6〜7月には、我が国として始めての環境問題訪中代表団を派遣し、中国における環境問題につき調査を行った。一方、中国からは、9〜10月、18名の環境保護視察団が来日し、我が国の環境保全施策、公害防止のための技術等に関する調査を行った。
このほか、53年度には、西独、フランスからも環境視察団が来日しており、我が国の環境保全対策に対して国際的に関心が高っていることがうかがわれる。