2 悪臭防止対策
(1) 悪臭防止法の施行状況
「悪臭防止法」では、規制地域の指定、規制基準の設定は、各都道府県知事(9指定都市の市長を含む。)に委任されているが、53年度末現在で奈良県、大分県を除く45都道府県9指定都市で行われ、市町村数では487市545町80村23特別区となっており、全市町村の約35%に達している。
また、51年10月に悪臭物質として追加指定された二硫化メチル、アセトアルデヒド、スチレンの3物質についても30道府県5指定都市で規制地域の指定、規制基準の設定が行われている。
規制地域の指定と同時に規制基準の設定が行われるが、その方法を見ると、半数以上の都道府県及び指定都市においては、規制地域内を区分し、住居地域は臭気強度2.5に対応する濃度とし、工業地域などの悪臭順応地域は、臭気強度3.0又は3.5に対応する濃度としている。
都道府県知事(政令で市区町村長に委任されている。)は、規制地域内の事業場の事業活動に伴って発生する悪臭物質の排出が規制基準に適合しないことにより住民の生活環境が損なわれていると認めるときは、事業場を設置している者に対して悪臭防止措置を講ずるよう改善勧告、更には改善命令を発することができることとされており、52年度中に実施された改善勧告は7件である。
(2) 悪臭防止技術マニュアルの作成
悪臭は、その発生業種及び工程が多岐にわたり、その防止方法の選択は極めて難しいため、地方公共団体担当者は悪臭防止の指導に苦慮している面が多い。
環境庁は悪臭物質の発生業種ごとに最も適した防止方法を具体的に解説した悪臭防止技術マニュアルを52年度から作成し、53年度は、都市清掃施設、パルプ工場、鋳造工業、レ-ヨン製造業等について作成した。
(3) 悪臭の評価方法の改善
「悪臭防止法」では、現在ガスクロマトグラフ等の機器を用いて測定し、悪臭物質の濃度を規制する方式をとっているが、悪臭公害はその発生源が多岐にわたっていること、またほとんどの場合低濃度の複合臭であることから機器測定のみで悪臭物質を測定することには限界があると考えられる。
これらの問題に対処するため人のきゅう覚を用いる官能試験法の研究を進め、52年度に三点比較式臭袋法の試験方法を取りまとめた。53年度からは、この調査研究の結果を基に、悪臭発生源周辺において調査を行い、機器測定法及び官能試験法並びに住民反応との対応について比較検討を進めているところである。