1 悪臭の現況
悪臭は、きゅう覚という人の感覚に直接知覚されるものであって、多くの地域で社会問題となっており、その苦情件数は、例年、騒音・振動に次いで多数を占めている。
また、環境庁において、各都道府県、指定都市に依頼して行った悪臭に係る苦情・陳情の件数調査(昭和52年度)の結果を見ると、16,676件となっており前年度との比較では4.3%の増加となっている。業種別では、畜産農業が32.0%と最も多く、次いでサービス業・その他が17・3%となっている。
地方自治体が受理した苦情・陳情を東京都及び9指定都市と46道府県に分けて集計し、業種ごとに割合を全国集計分と比較して、苦情・陳情の発生傾向を見たのが第5-1-1図である。東京都及び指定都市においては、畜産に係る苦情が少なく、一般機械器具製造工場、塗装工場等のその他の製造工場及びサービス業・その他に分類される業種の占める割合が大きく、都市における悪臭発生源が多様であることが分かる。
悪臭の原因となる物質については、業種、事業の規模、作業方式等により種々異なるが、現在政令で定められている8つの悪臭物質とこれを排出する主要な発生源事業場は第5-1-2表のとおりである。