3 自動車構造の改善
自動車構造の改善により、自動車本体から発生する騒音の大きさそのものを減らす対策として、特殊自動車を除くすべての自動車及び原動機付自転車を対象として許容限度を設定して規制が実施されている。
まず、新車に対しては、46年から従来の定常走行騒音及び排気騒音規制に加え、市街地を走行する際に発生する最大の騒音である加速走行騒音についても規制が実施されてきたが、50年9月には加速走行騒音について大型車、二輪車の3ホン低減を中心とした許容限度の改正を行い、乗用車及び小型トラックを除く車種については51年1月から、乗用車及び小型トラックについては52年1月から規制が実施された。また、使用過程車に対して定常走行騒音及び排気騒音について規制が実施されている。
しかし、これでは、自動車騒音による公害を防止するには必ずしも十分でない面があり、長期的展望に立った自動車騒音の抜本的規制強化を図るため、48年4月に環境庁長官から中央公害対策審議会に対し、自動車騒音の許容限度の長期的設定方策について諮問が行われ、51年6月に答申がなされた(第4-3-9表)。
この答申に基づく規制が実施された場合に、どの程度の環境騒音低減効果が期待できるかを交差点付近及び直線道路付近の2つの場合について試算すると第4-3-10表のとおりである。
環境庁では、この答申の内容を踏まえ、53年1月30日、54年規制として第一段階の許容限度の強化を行い、乗用車、ガソリントラック、バスについては54年1月から、ディーゼル車、二輪車については54年4月から適用されている。
この規制強化により加速走行騒音は、車種区分に応じ、1ホン〜5ホン低減されることとなる(第4-3-11表)。
しかしながら、自動車騒音の現状を考慮すると、できるだけ早期に中央公害対策審議会から示された第二段階の規制を実施する必要がある。そのため、自動車公害防止技術評価検討会を設け、自動車メーカーからのヒアリング等を行い、自動車騒音低減技術の開発状況の評価検討を進め、技術開発の促進を図ることとしている。
なお、これらの許容限度は道路運送車両の保安基準によって確保されるとともに、これを担保するため、自動車に対する新規検査、継続検査等が行われ、また、街頭における整備不良車両に対する検査等が実施されている。
また、自動車構造の抜本的な改善を図るため、低公害の輸送手段と考えられる電気自動車の開発及びその普及促進が図られている。