2 地域環境管理の推進
(1) 環境汚染物質の発生源に対する各種の規制や公害防止計画等の施策の進展により、一部の汚染には改善の傾向が見られるようになったが、環境問題は多様化・複雑化しており、また、環境に対する国民の欲求も、公害による被害の防止にとどまらず、より良い環境の創造へと質的に高まりつつある。
このような要請に対処するためには、地方公共団体において、地域の自然的、社会的条件を踏まえた地域環境の望ましいあり方を明らかにし、その実現のための諸手段を総合的、計画的に実施する地域環境管理を推進する必要がある。
(2) 地域環境管理については、既に幾つかの地方公共団体において実施されているほか、多くの地方公共団体において、その検討がなされているところである。
例えば、環境庁による53年8月現在の都道府県及び政令指定都市に対する調査によれば、地域環境管理の計画を策定している地方公共団体は、大阪府、兵庫県、福井県及び川崎市の4団体であり、検討中の団体は30団体となっている。
しかし、この地域環境管理の具体的内容については、地方公共団体により種々となっており、例えば、前記調査によれば、地域環境管理の目的は、環境影響評価を実施するための指針とするのが32団体、地域環境情報の体系化を図るとするのが26団体、地域における環境の受容可能性を明らかにするとするのが25団体、都道府県総合計画等を環境面からチェックするとするのが21団体、公害防止のための計画とするのが15団体,適切な土地利用の確保を図るとするのが12団体等(複数回答)となっている。
また、前記調査によれば,地方公共団体においては、国に対して,環境管理計画の策定のための指針等の提供、地域環境管理についての基礎的な手法確立のための調査研究等の要望がある。
(3) このため、国においても、地方公共団体に助言等を行っていく施策、体制の整備が必要であり,51年度以降、環境庁においては、地域環境管理に関する検討を進めているところである。
53年度においては、多様な地域環境管理の概念、用語等の整理を行うとともに、地域環境の総合的解析・評価手法に関する検討を進める等、環境管理計画策定手法の検討を行った。
また、地域環境管理を計画的に推進する際の基礎資料として、地域の自然的条件、社会的条件に関する基礎的な環境情報を体系的に収集・整理した環境基本情報書の整備を図るため、引き続き2地域について環境基本情報書モデルを作成した。