2 水質汚濁
現行の「水質汚濁防止法」は、工場、事業場の特定事業場についてのみ濃度基準による規制を行っているが、最近の水質汚濁の状況から見て、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海等の広域的な閉鎖性水域の水質汚濁の防止のためには、それに加え当該水域に流入する上流県等内陸部からの負荷、生活排水を含め当該水域に流入する汚濁負荷量の総量を一定限度以内にする総量規制の導入が要請されている。
このため、52年12月の中央公害対象審議会の答申をもとに総量規制の制度化を図ることとしている。また、52年度の負荷量監視システム設計に基づいて実施する負荷量監視モデル事業に補助することにより、総量規制実施に必要な監視体制の実証、確立を図ることとしている。
水域の富栄養対象の推進に資するため富栄養化機構の解明を図るとともに、窒素、リンについて発生源別流入量、底質からの溶出状況、プランクトンの発生状況等についての調査を目的とする栄養塩類収支挙動調査を、東京湾及び有明海において実施するとともに、53年度からリンについて環境上の望ましいレベル及び排水処理技術についての指導指針を策定するための調査検討を行うこととしている。
また、養殖漁場における水質汚濁の実態調査を引き続き実施することとしている。
排水基準については、水質汚濁に係る環境基準の類型当てはめが行われた水域、環境基準の達成期間が到来した水域等で環境基準が達成維持できない水域において必要に応じ上乗せ排水基準の設定及び見直しを促進し、水質汚濁防止対策の推進を図ることとしている。
排水規制がまだ行われていない業種については、引き続きその排水に関する実態調査を実施する。また、既に実態調査を終了した自動車整備業、機械修理業等の業種については、排水規制を実施することについて検討を進めることとしている。
排水規制がまだ行われていない項目についての実態調査を引き続き実施するとともに、アンチモン、ニッケル、セレン、モリブデン、塩素等については、実態調査の結果を取りまとめ検討していくこととしている。
温排水については、生物に及ぼす影響についての調査等を促進し、規制基準作成のための検討を行うこととしている。
また、水質汚染を効果的に防止するため水質汚濁の発生源についてその発生量、処理量等を引き続き調査することとしている。