(1) 海外広報
環境問題は、現象的には地域的側面と地球的側面とがあり、また施策的には国内的対策と国際的対策とがある。また我が国の環境政策が樹立、整備される過程において諸外国との交流並びに国際的組織への参加に負うところが大きい。つまり、現代世界は一般的に相互依存度が高まっているが、とりわけ環境問題においてはそれが著しい。我が国は極めて特徴的な公害の経験を有するとともにその解決と対策の推進に努力を重ねてきた。これらの知見を諸外国に提供することによって我が国の環境問題の現況と対策の理解を増進し、更に国際的環境保護の推進に寄与することが必要である。その一環として、英文の「環境白書」(Qualityof the Environment in Japan、1977)、「環境保全研究成果集」(EnvironmentalResearch in Japan、1977)、月刊「ジャパン・エンバイロメント・サマリー」(JapanEnvironment Summary)の定期刊行物のほか、「環境保全長期計画」、「自然保護行政の概要」の英語版を作成し、在外公館、各国政府、国連等国際機関、各種環境関係機関等に配布し、積極的な広報活動を行っている。
(2) 国際研修の実施
東南アジア、中近東、中南米等の発展途上国においては、工業開発の進展、人口の増大と都市への人口集中、自動車交通量の拡大等にともない、開発地域や都市部の大気汚染、水質汚濁、騒音等が重大な問題となりつつあり、経済発展と環境問題の調和についても関心がたかまりつつある。これらの諸国は、近年、環境保全に関する行政組織や法制度の整備、各種の環境整備施設の建設等に鋭意取り組んではいるものの、専門的な知識・経験を有する行政官・技術者の絶対数の不足に直面している。このため、環境庁、建設省及び厚生省は国際協力事業団との協力により、上記諸国の行政官、技術者を対象にした集団研修コースとして、毎年、環境行政、環境技術(以上、環境庁)、水質汚濁・下水道(環境庁)及び廃棄物処理(厚生省)の各コースを開催している。この他、個別的な問題について、各国のニーズに応じて個別研修も実施している。
52年度におけるこれら集団研修コースへの参加者は、第5回環境行政研修(53年2月〜3月開催)に8か国9名、第3回環境技術研修(52年9月〜10月開催)に11か国14名、第5回水質汚濁・下水道研修(52年9月〜12月開催)に9か国9名、第9回廃棄物処理研修(52年6月〜8月開催)に8か国9名であった。
(3) 技術協力派遣
国際協力事業団を通じて3つの専門家派遣を行った。一つは自然保護の分野で、エチオペアのオモ国立公園開発管理計画に参画し、国立公園及び動物保護区を一体とした地域の保護・開発計画の立案に協力するものである。他の二つはコロンボ計画の一環としてのインドネシアに対する保健医療協力で、北スマトラ地域において健康増進、保健教育、医療サービス等の総合的な保健対策について協力するものである。本事業の実施協議チーム及び事業実施に関わる細部調査団の団員として2名の専門家を派遣した。