1 環境保全総合調査研究促進調整費による調査研究
昭和52年度においては、赤潮による漁業被害、産業廃棄物の増大による処理、処分問題、地震、火山噴火による自然環境その他の被害等種々の問題が発生した、この様な事態に対応するため、環境庁は、琵琶湖等で発生した富栄養化による問題を改善するため、富栄養化を促進する内部生産エコシステムを解明し、これの抑制を図る研究を行い、農林省は赤潮による被害を防除するため、ホルネリア属赤潮の発生機構の究明とハマチ等のへい死機構を解明する研究を行った。
また産業廃棄物の処理・処分を適正に行い、最終処分場を整備、確保するため、環境庁は、産業廃棄物のうち無害なものの処分を合理的に行い、最終処分場を確保する一助とするための無害な産業廃棄物の指定調査を行い、厚生省は、産業廃棄物の不適切な処理・処分及び最終処分場の不足問題を改善するため、処理施設及び処分場の点検マニュアルを策定する調査を行った。
このほか、環境庁は、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約を批准するための国内法令の整備のため、未規則物質の発生過程調査を行い、通商産業省は、洋上焼却処理船を使い、現在有効な処理方法がなく、保管されている液状PCBの処理を実施するための事前調査を行った。
さらに、運輸省は大気汚染防止を促進するため、移動発生源である船舶の排ガス対策を推進するための調査を行い、環境庁は、松くい虫が運ぶ線虫類による全国的な被害防除のため、松林へ空から農薬散布を行うに際して、鳥類等への影響等に関する各種の調査を行った。
また、伊豆大島近海地震により、鉱さいたい積場から流出したシアン含有鉱さいによる河川等への影響を調査するため、建設省及び運輸省は、河川及び海域における影響実態調査を行い、農林省はアユ等の水生生物に与える影響調査を行った。さらに、環境庁は有珠山の噴火により被害を受けた国立公園の今後の管理運営等を検討するための調査研究を行った。