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第2節 

2 廃棄物処理対策

(1) 廃棄物処理規制の強化
 51年6月に「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の一部が改正され、更に同法施行令、同法施行規則の一部改正等が行われ、これらの法律、政省令等は52年3月15日から施行された。この改正により、産業廃棄物を他人に委託する場合の基準の設定、有害な産業廃棄物を設置する事業場における産業廃棄物処理責任者の配置、廃棄物の最終処分場に関する技術上の基準の設定等産業廃棄物に対する規制の強化を中心に廃棄物処理体制が大幅に拡充された。
 これに伴い、これら法令との均衡を配慮して、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令の改正等が、52年9月1日から施行され、海面埋立処分基準の整備、有害水底土砂に係るコンクリート固型化基準の具体化により、船舶から行う廃棄物の処分基準の充実強化が図られた。
(2) 廃棄物処理対策
? 一般廃棄物
 一般廃棄物処理施設の整備については、「廃棄物処理施設整備緊急措置法」に基づき、現在55年度までの第4次計画が策定され、計画的な整備が図られているが、52年度においても引き続き、し尿処理施設整備費補助82億円、ごみ処理施設整備費補助230億円、埋立処分地施設整備費補助13億円等346億円をもって施設の整備拡充が図られた。
 また、ごみの収集運搬を行う施設としてパイプライン輸送施設があり、その実験事業に対しても5億5,000万円の補助を行った。
? 産業廃棄物
 厚生省においては、50、51年度の2年度にわたって、有害物質に係る産業廃棄物の排出及び処理状況に関する全国調査を実施した。その結果によると、49年度において水銀又はその化合物、カドミウム又はその化合物、鉛又はその化合物、有機リン化合物、6価クロム化合物、砒素又はその化合物及びシアン化合物の7種類の有害物質のうち、いずれかを含む可能性のある汚泥を排出した事業所は、全国で7,120事業所あり、その排出量は149万トンであった。これらの汚泥の処分状況について見ると、排出量の65%が埋立処分されており、22%が再生利用されていた。50年度においてPCBを含む可能性のあると考えられる古紙再生汚泥を排出した事業所は、全国で467事業所あり、その排出量は173万トンであった。これらの汚泥の処分状況について見ると、排出量の43%が埋立処分されていた。また、49年度において有害物質を含む可能性のある鉱さいを排出した事業所は、全国に532事業所あり、その排出量は300万トンであった。これらの鉱さいの処分状況について見ると、排出量の62%が埋立処分されていた。一方、これらの汚泥及び鉱さいの埋立処分が行われている処分地の数は、51年度の調査時には859であった。
 厚生省においては、この調査結果を踏まえ、52年度に有害産業廃棄物の発生から最終処分に至るまでの流れを明らかにし、産業廃棄物の性状に応じ適切な処理体系を確立し、地域的特性も考慮した有害産業廃棄物の処理のための総合的モデルを開発するため、「有害産業廃棄物処理マスターモデル策定に関する研究」を実施した。
 また、通商産業省では、産業廃棄物の最終処分場の確保対策の一環として、亜炭の採掘あとの古洞をキラ(陶土残渣)の処分に活用するための実験を行った。
 更に、廃棄物の最終処分場をはじめとする廃棄物処理施設の整備を促進するため、公害防止事業団等の政府関係金融機関の産業廃棄物処理施設に対する融資等の措置を講じた。
 特に、質、量において複雑かつ膨大な廃棄物に対応するためには、処理施設の整備を図る一方で、廃棄物の再利用、再資源による減量化等の方策を推進する必要がある。このため地方公共団体、事業者等は、各種の形態で有効利用のための試みを行っているところであるが、厚生省においても、各地方公共団体等で行われている不要品交換、高速たい肥化等各種有効利用についての実態調査を行うとともに、その経済性、適合性等の観点から清掃事業における廃棄物有効利用のあり方について検討を行っている。更に通商産業省においては、廃棄物の再資源化を促進するため、(財)クリーン・ジャパンセンターの、モデル都市における再資源化実験事業、啓蒙普及、調査研究等の各種の再資源化事業に対する助成を行ったほか、6種類の廃棄物につき再資源化実態調査を実施した。
? その他
 運輸省においては、48年度から港湾における廃棄物処理対策として廃棄物埋立護岸の整備等を行っているが、52年度においても横浜、大阪など大都市の7港湾において、事業費約300億円をもって廃棄物埋立護岸の整備を行うとともに、事業費12億円をもって船舶、港湾施設から発生する海洋性廃棄物の処理施設の整備を行った。

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