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第3節 

2 自動車騒音等の対策の方向

(1) 総合対策の推進
 自動車騒音は、エンジン、吸排気管、ファン、タイヤ等から発生するが、実際には、自動車本体から発生する騒音、走行条件、自動車交通量、道路構造等の各種の要素が複雑に絡み合って自動車騒音問題となっている。従って、この問題を抜本的に解決するためには、自動車本体から発生する騒音の規制、走行状態の改善、交通量の抑制、道路構造の改善、沿道対策等の諸施策を総合的に推進していく必要がある(第4-3-4図)。


(2) 環境基準の設定等
 騒音に係る環境基準が46年5月に設定され、これを目標として自動車騒音公害防止のための総合的な施策が進められている。
 騒音規制法では、自動車構造の改善により自動車騒音の防止を図るため、環境庁長官が自動車騒音の大きさの許容限度を定め、これを道路運送車両の保安基準において担保することとしており、都道府県知事が自動車騒音について、その測定レベルが一定の限度を超え、道路周辺の生活環境が著しく損なわれると認めるときは、都道府県公安委員会に対して、道路交通法の規定による措置を執るべきことを要請し、また、必要に応じ、道路管理者等に対し、道路構造の改善その他の自動車騒音の大きさの減少に資する事項に関し、意見を述べることができることとされている。51年度中における都道府県公安委員会に対する要請は20件、道路管理者に対する意見は15件であった。
 また、振動規制法においては、都道府県知事が道路交通振動についてその測定レベルが一定の限度を超え、道路周辺の生活環境が著しく損われていると認めるときは、道路管理者に対し道路交通振動の防止のための舗装、維持又は修繕の措置を要請し、又は都道府県公安委員会に対し道路交通法の規定による措置を執るべきことを要請することができることとされている。
(3) 道路構造の改善及び周辺対策の拡充強化等に係る要請
 騒音等の道路交通公害対策として、総合的な諸施設の推進が必要とされることは既に述べたとおりであり、環境庁においては、自動車本体から発生する騒音についての許容限度の強化を図ってきているところである。しかしながら、自動車構造の改善による騒音の低減には技術的な限度があり、以上のような現状に対処するためには道路構造の改善や周辺対策等の拡充強化に係る面も大きいことから、これらについて52年12月20日環境庁長官から建設大臣に対して、次のような内容の要請を行った。
1. 遮音壁、緩衝緑地帯の設置等騒音を減少させるための道路構造の整備、改善を一層促進するとともに、道路の構造等による騒音低減技術の研究開発を推進すること。
2. 現在高速自動車国道等の周辺の住宅に対して実施されている防音工事の助成措置を促進するとともに、騒音の特に著しい幹線道路周辺についても、このような障害防止のための措置を検討すること。
3. 52年度から着手された幹線道路周辺地域における沿道環境整備促進事業を推進し、今後更に拡充強化を図るとともに、道路周辺における騒音防止の観点からも配慮した土地利用の適正化の方策を検討すること。
4. 第8次道路整備五箇年計画の策定及び実施にあたっては、道路の周辺地域における生活環境の保全に十分配慮し、上記事業に係る財源の確保、その円滑な実施に遺憾のないようにすること。また、道路の新設にあたっては、環境基準の達成について計画段階から十分配慮すること。
5. これらの事業の強力かつ円滑な推進を図るため、必要な法制度の整備を検討すること。
 なお、同日の閣議で環境庁長官から、建設大臣に文書をもって要請を行うことと、特に第8次道路整備五箇年計画において、環境対策に格別の配慮を煩わしたいことを述べるとともに、道路交通公害に対処するためには、このほか環境対策にも配慮した交通体系や交通規制など総合的施策の推進が必要であるので運輸省、警察庁など関係省庁にも協力と配慮を求める旨の発言がなされた。これに対して建設大臣から、要請の趣旨に沿って可能な限り施策の一層の促進を図るとともに第8次道路整備五箇年計画において環境対策について十分配慮するとともに、本問題解決のためには関係省庁において引き続き総合的施策を推進する必要がある旨の発言がなされた。

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