4 漁業被害

　水質汚濁による漁業被害は、年により変動はあるものの、近年、発生件数は増加の傾向にあり、全国的に多種多様な形で発生している。
　漁業被害の態様としては、?海面の浮遊物、廃棄物の海底たい積等に伴う操業効率の低下、漁具の損壊、?油濁、赤潮の発生に伴う漁業環境の悪化、水産生物の死滅、生育不能等、?重金属、PCB等の有害物質の蓄積、着臭等による漁獲物の販売不能又は商品価値の低下、?漁船、漁具等の汚れ、腐蝕等がある。このほか、最近では農薬等による魚介類の被害、砂利採取や建設工事等に伴う濁水の影響、発電所からの温排水が漁場環境に与える影響等の問題がある。
　51年度において発生した水質汚濁による突発的漁業被害は、都道府県の報告によると、発生件数が466件、被害総額は3,589百万円(被害額不明238件)である。
　このうち、油濁による漁業被害額は、前年より減少したものの発生件数は増加している。また油濁による漁業被害発生件数のうち、原因者不明によるものは77%と高い率を占めている。また、赤潮による被害は、発生件数、被害額とも前年より増加している。
　なお、水銀・PCB等による魚介類の汚染に関しては、51年度の水銀・PCB等の魚介類汚染状況調査の結果等により汚染されていることが明らかにされた水銀に係る17水域及びPCBに係る11水域において、既に水域及び魚種を定めて、漁獲の自主規制又は食事指導が行われている。