7 監視測定体制の整備
(1) 地方大気汚染監視体制
地方における大気汚染に係る監視測定は「大気汚染防止法」第22条の規定により、大気汚染の常時監視義務を有する都道府県及び同法施行令により委任を受けた市等において行われている(参考資料17参照)。
また、大気汚染物質を排出する発生源における二酸化硫黄濃度、燃料使用量等の常時監視を行い、その測定結果を中央監視センターに伝送するテレメータ装置等の整備も一部の地方公共団体において進められている。
なお、国においては都道府県及び政令市が行うこれらの監視測定に必要な測定機器等の整備に対して補助を行っている(補助率、公害防止計画地域2分の1、その他の地域3分の1)。52年度の補助予算額は9億3,000万円である。
(2) 国設大気測定網
大気汚染物質のうち、現に規制の対象となっている物質のみならず、他の物質を含めて大気汚染の態様を全国的な視野では握するとともに、環境基準の設定、公害防止計画の策定等に必要な基礎資料を得る目的で国設大気汚染測定所及び国設環境大気測定所が設置されている(第2-2-35図)。
国設大気汚染測定所は、全国の主要地域15か所に設置されている。各測定所には、二酸化硫黄、窒素酸化物等の各種測定機器が設置されており、このデータをもとに大気汚染要因の解析や究明が行われている。
国設環境大気測定所は、我が国の代表的な平野部における既汚染地域以外の地城の状況をは握する目的で48年度から51年度まで各年度2か所づつ計8か所に設定されている。
この測定所には、国設大気汚染測定所に設置しているものと同種の測定機器のほかに弗化水素、オゾン等の測定機器も設置している。
なお、測定を開始している6か所の環境大気測定所における二酸化硫黄等主要物質の測定結果を示すと、第2-1-30表(前掲)のとおりであり、未汚染地域の濃度(バックグラウンド値)がどの程度かを知る手掛かりとなっている。
自動車排出ガスについても国設自動車排出ガス測定所を東京都内の3か所に設置している(測定機器の設置状況については参考資料18参照)。
なお、WMO(世界気象機関)の地球環境監視システムの一環として、全地球的規模の大気汚染状況の常時観測が岩手県三陸町の気象ロケット観測所において行われている。
(3) 予報体制
「大気汚染防止法」に定められた都道府県知事の行う緊急時の措置等に協力するため、新たに仙台管区気象台に大気汚染気象センターを設置するとともに、既に大気汚染気象業務を実施している銚子、横浜等の10地方気象台に加え、福島地方気象台についても業務に必要な設備を整備した。
(4) 測定器の保守管理等
大気中並びに排ガス中の微量の大気汚染物質の測定は、通常、誤差が伴いやすく、その測定制度の維持のため、測定器の保守管理を徹底することは特に重要である。このため、正確で簡便な測定法の開発普及に資するよう、各種測定法の改良に係る調査研究を進めているほか、保守管理に関する研修を行うなどの所要の指導を行っている。
また、測定法の標準的な段取り、装置の仕様等についても、JIS等の改正に併せてその周知徹底に努めている。