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第2節 

5 諸外国との比較

 我が国の国土面積は3,775万haであり、このうち森林面積を除いた可住地面積は、全国土の約3割にすぎない。この狭隘な国土に、1億1千万人の人口を擁し、かつ、世界第2位の国民総生産を挙げる経済活動が営まれ、世界も類をみない高密度経済社会を形成してきたことも、著しい環境汚染をもたらす一因となったといえよう(第1-10表)。
 そこで、我が国と諸外国の環境汚染の現状を見ると、主要都市における二酸化硫黄、一酸化炭素による大気汚染は、各国とも改善傾向にある。主要都市の大気汚染の国際比較は、調査測定局数、測定方法の相違から単純な比較は困難であるが、我が国の汚染が諸外国と比較して著しいものではないといえよう(第1-11表)。
 水質についても、国際比較を行うことは、地点の選定、水温等の差異等の問題があるため更に困難であるが、有機物による水質汚濁をみるため溶存酸素量(DO、汚染が進むとDOが減少し魚類を死滅させる)を指標に用い、日本では多摩川の河口近くを例にとって第1-12表の河川について一応の比較をしてみると、1960年代においてかなり低い値を示しているが、1970年代においては、相対的に改善の度合いが著しいといえる。

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