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第1節 

1 公害健康被害補償法の実施

(1) 地域指定
 本制度の指定地域のうち、大気の汚染により慢性気管支炎等の疾病が多発している地域(第1種地域)については、昭和51年度において、名古屋市の一部地域、東大阪市及び八尾市につき地域指定の基礎調査を実施しているので、これら調査の結果につき解析評価を行うこととしている。
(2) 給付内容等の充実
 補償給付については、労働者の平均賃金の上昇に合わせて、障害補償費、遺族補償費及び遺族補償一時金を52年4月から改定するほか、児童補償手当、介護加算額及び療養手当についても、他の制度の同種の給付の水準を考慮して改定を行うこととしている。
 また、公害保健福祉事業については、転地療養事業について、指定施設で行う個人参加方式の事業を認める等の改善を行うこととしている。
(3) 費用負担
 第1種地域に係る補償給付費(原因者負担分、公害保健福祉事業費の1/2を含む。)の所要額は52年度においては約609億円(51年度は約440億円)と見込まれている。制度の施行実績を見ると、指定地域によっては固定発生源に係る汚染負荷量賦課金と賦課金の負担に属するその地域の補償給付費等の費用の額とが、著しくかい離しているところが生じている。汚染者負担の原則から見てもこのような事態は望ましいものではないと考えられるので、52年度から、指定地域の賦課料率について、指定地域を近接するブロックにまとめ、ブロックごとに指定疾病に影響を与える大気汚染の状況に応じた格差を段階的に導入していくこととしている。

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