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第10節 

3 公害防止協定の締結状況

 51年10月1日現在公害防止協定を締結している事業所数は10,899件となっており、前年に比べ1,976件増加している(第9-10-11表)。
 このように引き続き公害防止協定の締結件数が増加している理由としては、?公害防止協定により公害規制法規を補完すること、?公害防止協定により、当該地域社会の地理的、社会的状況に応じたきめの細かい公害防止対策を適切に行うことができること、?公害防止協定は将来の具体的な公害対策又は公害予防技術の開発を促進させる効果をもっていること、?企業側から見ても、立地するに際して地域住民の同意を得なければ操業が困難となっていること等の事情が挙げられよう。
 51年10月1日現在協定を締結している事業所を業種別に見ると金属製品製造業及び機械工業がともに1,162件で最も多く、次いで、化学工業が1,075件となっている(第9-10-12表)。
 次に、公害防止協定の内容についてみると、防止の対象としている公害で最も多いものは水質汚濁であり、協定を締結した事業所総数の55.4%がその対策を織り込んでいる。協定を締結した事業所を公害の防止対象別に見ると第9-10-13表のとおりである。
 更に、公害防止協定の中には、住民団体が当事者となって地方公共団体とともに事務所を相手として結んでいるもの又は住民団体が立会人となっているものなどの住民が参加して締結された公害防止協定も多くみられるようになってきている。その件数は、51年10月1日現在で479件で、その割合は全体の4.4%となっている。また、住民団体と企業の間で結ばれた公害防止協定も1,821件と増加している(第9-10-14表)。
 公害防止協定の実効性を担保とするものとして、事業所が公害を発生させた際の操業停止や損害賠償について定めたもの、無過失損害賠償責任を定めたもの、立入調査を定めたものが多くなってきている(第9-10-15表)。
 なお、公害防止協定を締結したものの、それを履行しない事業所に対し、その履行を求めるため地方公共団体、住民団体が協定に基づく措置を採った事例は、50年度では146件(うち地方公共団体締結分145件、住民団体締結分1件)であったのに対し、51年度では地方公共団体締結分について169件、住民団体締結分について8件、全体で177件となっている。

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