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第5節 公害防止事業の事業者負担

 「公害対策基本法」第22条においては、事業者は、その事業活動による公害を防止するために国又は地方公共団体が実施する事業について、当該事業に要する費用の全部又は一部を負担するものとされている。これを受けて、昭和45年12月に「公害防止事業費事業者負担法」が制定され、46年5月10日から施行されている。
 この法律は、国又は地方公共団体が、しゅんせつ事業、汚染農用地の客土事業、緩衝緑地造成事業等の公害防止事業を実施する場合に、当該公害防止事業に係る公害について、事業者の事業活動が原因となると認められる程度に応じて、事業者に、当該防止事業費の全部又は一部を負担させることを定めたものである。
 52年2月末現在で、各県等から環境庁が報告を受けたところによると、法施行日以降これまでに「公害防止事業費事業者負担法」を適用して公害防止事業を実施したものは第9-5-1表のとおりである。
 これを見ると、公害防止事業費の合計は38件で約841億円、事業者負担総額の合計は約437億円となっており平均負担割合は51.9%となっている。また、その内容はしゅんせつ事業等の底質汚染防止対策事業費が21件、客土事業等の農用地の土壌汚染防止対策事業が8件、緩衝緑地造成事業が10件となっている。
 事業者の負担割合は、第9-5-2表に見る通り、しゅんせつ事業等、客土事業等はいずれも比較的高いものであるのに対し、緩衝緑地造成事業は比較的低いものとなっている。このように負担割合が異なるのは、しゅんせつ事業や客土事業の場合は、いずれの事業活動に伴って排出された有害物質等を除去したり、封じ込めたりするものであり事業者の事業活動が当該公害の原因となっている割合が高いのに対し、緩衝緑地造成事業の場合は公害の防止と同時に、都市環境の整備という面が相当認められるため、事業者負担割合が減じられていることによるものと考えられる。

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