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第3節 二国間協力等の推進

(1) 昭和50年8月に調印された日米環境協力協定に基づいて、51年度には、下記の専門家会合及び専門家の交流が行われた。
 第3回光化学大気汚染委員会と第2回大気汚染気象委員会が9月にノースカロライナで、第3回廃棄物処理委員会が東京で、第2回有害物質の処理処分に関する専門家会議が10月に東京で、それぞれ開催され、技術的な問題について意見の交換を行った。
 また、環境影響評価制度調査団が12月に訪米し、非鉄金属産業公害調査団が52年1月に来日した。
 49年10月に締結された日独科学技術協力協定に基づく第2回合同委員会が51年6月22日〜23日ボンで開催され、各分野における協力状況及び協力拡大の可能性等が検討された。協力分野の1つである環境保護技術協力パネルの第1回会合も6月28ボンで開催された。本会合では、?パネルの組織及び運営、?協力の態様、?協力テーマ及び連絡責任者が合意され、次会合から情報交換等の具体的テーマ内容に入ることになった。
 自然保護の分野では、天然資源の開発に関する日米会議(UJNR)の一環として第10回国立公園及び同等保存地域に関する日米会議が、51年9月20日から10月2日までアメリカ及びカナダで開催された。この会議では都市環境とレクリエーション計画、国土利用計画法、海鳥の保護など8項目について討議が行われた。なお、この会議にはオブザーバーとして、カナダとオーストラリアが参加している。
(2) 技術協力派遣
 自然保護の分野で、国際協力事業団を通じて2つの専門家派遣を行った。1つはエチオピアのオモ国立公園等開発管理計画への参画で、51年12月から2年間の予定で国立公園及び動物保護区を一体とした地域の実施可能な保護及び開発計画の立案に協力するものである。
 他は、インドネシアのスマトラ西部及び北部の基盤施設整備計画の事前調査で、51年12月に調査団が派遣された。
(3) 研究の実施
 発展途上国における環境保全に資するため、東南アジア、中近東、アフリカ、中南米からの研修生に対し、第2回環境技術研修(51年9月16日〜10月25日)と第4回環境行政研修(52年2月21日〜3月18日)を実施した。環境技術研修は特定の分野について技術問題を中心に、各国の中堅クラスの技術行政官の育成を目的としたものである。最近、発展途上国においては水質汚濁が深刻な問題となっているころから、水質汚濁防止に関心が寄せられており、本研修では水質汚濁防止技術を中心に日本の事情が紹介された。
 環境行政研修は各国上級行政官を対象に我が国の環境保全行政の沿革、現状、諸対策等を紹介し、各国の施策に資することを目的としたものであり、講義と見学とを有機的に結合して実施された。
(4) 海外広報
 海外広報活動については、英文環境白書の作成、Japan Environment Summaryの定期刊行を例年のとおり行った。
 このほか、51年度には、?英文法令集の改訂、?日本におけるアルキル水銀の健康影響研究の英文報告書、?「環境保全研究成果集」(環境庁に一括計上の予算で実施される公害防止のための科学技術研究結果の報告)の英文要約集の印刷、?英文環境年表の作成、?「自動車の窒素酸化物の低減技術に関する報告」の英文資料集の作成、などを通じて、海外諸国に対する広報活動の充実を図った。
(5) 鳥類保護に関する二国間条約
 我が国の鳥類は、その約8割が日本とアメリカ、ソ連、中国、オーストラリア、東南アジア等の各国間を移動する渡り鳥で占められており、渡り鳥を保護するためには、これら諸国との国際協力を推進することが不可欠である。
 このため、我が国は、アメリカ、ソ連及びオーストラリアと渡り鳥等保護条約を締結し、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類の保護に努めている。

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