1 土壌汚染の現況
近年、大気の汚染、水質の汚濁等を媒体としたカドミウム等による農用地の土壌の汚染が各地で顕在化しており、人の健康を損なうおそれがある農畜産物の生産及び農作物の生育の阻害の原因ともなっている。
特定有害物質による農用地の土壌の汚染については、その事態をは握するために昭和46年度からカドミウムについて、47年度からカドミウム及び銅について、更に50年度からは砒素を加えた3物質について、その汚染地域及び汚染のおそれのある地域を対象に「土壌汚染対策細密調査」(細密調査)を実施しており、土壌汚染の現況が逐次明らかにされつつある。
50年度は、カドミウムに係る細密調査を34都府県138地域、約10,900haについて、銅に係る細密調査を9県15地域、約1,400haについて、また、砒素に係る細密調査を8県10地域、約560haについて実施した(この調査は国庫の補助事業のほか、都道府県単独事業としても実施している。)。この調査の結果の概要は、第4-6-1表及び第4-6-2表に示すとおりである。このうち対策地域の指定要件としての基準値以上のものが検出された地域は、カドミウムに係る調査では22地域(うち4地域は新規地域)、銅に係る調査では5地域(うち4地域は新規地域)、砒素に係る調査では5地域(すべて新規地域)であり、また、米中のカドミウム濃度の最高値は富山県神通川流域左岸地域の4.04ppm、土壌中の銅濃度の最高値は山形県屋代川流域地域の464.0ppm、土壌中の砒素濃度の最高値は宮崎県延岡地域の105.9ppmであった。これまでの調査結果を併せると、基準値以上のものが検出された地域は、カドミウムに係る調査では78地域、、銅に係る調査では34地域、砒素に係る調査では6地域となる。
なお、51年度は22県49地域約3,800ha(国庫補助事業分のみ)で細密調査を実施した。
このほか、重金属類による農用地の汚染の全般的な状況をは握するため、毎年度同じ地点で「重金属類概況調査」を継続して実施している。
また、汚染防止対策に資するため、農用地の土壌が汚染されている地域又は汚染のおそれが著しいと認められる地域において、現地改善対策試験ほ場を設置し、客土、土壌改良等の効果について調査試験を実施している。