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第5節 

1 悪臭の現況

 悪臭は、きゅう覚という人の感覚に直接知覚されるものであって、多くの地域で社会問題となっており、その苦情件数は、例年騒音・振動に次いで多数を占めている(第1-2図第9-2-6表参照)。
 環境庁において、各都道府県、指定都市に依頼して行った悪臭苦情・陳情の件数調査(昭和50年度)の結果を見ると、18,039件となっており、業種別では畜産農業が31.3%で最も多く、次いでサービス業、その他が16.3%となっている。
 地方自治体が受理した苦情を東京都及び9指定都市と46都道府県とに分けて集計し、業種ごとの割合を全国集計分と比較して、苦情の発生傾向を見たのが、第4-5-1図である。都市型の悪臭公害が発生していると見られる東京都及び指定都市においては、当然のことながら畜産に係る苦情が少なく、肥飼料、食品、化学以外の製造業及びサービス業、その他に分類される業種の占める割合が大きくなっており、都市における悪臭発生源の多様化が推測される。
 悪臭の原因となる物質については、業種、事業の規模、作業方式等により種々異なるが、現在政令で定められている8つの悪臭物質とこれを排出する主要な発生源事業は第4-5-1表のとおりである。

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