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第4節 

2 地盤沈下対策

 地盤沈下の防止のため。第4-4-2表に掲げる地域において「工業用水法」及び「建築物用地下水の採取の規制に関する法律」(いわゆる「ビル用水法」)に基づく地下水採取規制が行われている。また、多くの地方公共団体では条例等により地下水の採取の規制を行っており、最近はこの種の規制地域が拡大しているが、更に新潟県及び千葉県における可燃性天然ガス採取に伴う地下水の揚水の削減、東京都等における地下水使用の合理化、静岡県、徳島県等における工業用地下水採取の自主規制等行政指導により地下水採取量の減少を図っているところもある。
 51年度においては、引き続き、地下水採取の規制地域の監視測定に必要な地下水位観測を行うとともに水準測量等の経費について地方公共団体に補助した。また、地盤沈下の予防又は防止を考慮する必要のある地域において、地盤沈下の実態は握のための水準測量、地下水採取規制について検討するための地下水揚水量等実態調査、工業用地下水採取の自主規制を指導するための地下水利用適正化調査、工業用水使用合理化指導調査、地下水の水位及び水質の観測等のための地下水保全管理調査、農業用施設及び治水施設の復旧等の対策を検討するための地盤沈下対策調査等各種の調査を実施した。
 地下水採取量を抑制するための代替水対策としては、首都圏南部地域等において代替水供給事業が進められているが、特に工業用水道については「工業用水法」による規制に対応して建設される地盤沈下対策工業用水道事業に対して国庫補助金が交付され、その建設の促進が図られており、51年度には埼玉、千葉及び東京の各都県において5事業が引き続き実施された。51年度末における地盤沈下対策工業用水道事業の整備状況は、第4-4-3表に示すとおりである。
 既に著しく地盤が沈下している地域については、この結果生じる被害を防止することとともに、洪水、高潮等による災害に対処するため、各種の公共土木事業を実施する必要がある。このため、高潮対策、内水排除施設整備、海岸保全施設整備、土地改良等の事業が前年度に引き続き、福島、埼玉、千葉、東京、新潟、愛知、大阪、兵庫、佐賀等の各都府県において国庫補助事業として実施された。
 現在、以上のような各種の地盤沈下対策が講じられているが、更に地盤沈下の防止の徹底を図るためには地下水の採取規制を強化しつつ、水使用の合理化、代替水源の確保を図る等、総合的な対策を講じる必要がある。これらの観点から、地盤沈下の防止に関する法制の整備等の検討を行った。

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