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第1節 

1 騒音の現況

 騒音は各種公害のなかでも日常生活に関係の深い問題であり、また、その発生源も多種多様であることから、例年、騒音に関する苦情件数は公害に関する苦情のうちで最も多数を占めている(第1-2図第9-2-6表参照)。次に、騒音の種別ごとに苦情件数の内訳を見ると、第4-1-1表のとおり、工場騒音が最も多くを占め、建設騒音がそれに次いでいる。
 自動車、航空機等交通機関に起因する騒音の苦情件数は、騒音に関する苦情件数全体から見れば少ないが、交通騒音については、近年、訴訟等も提起されている。
 ちなみに自動車交通騒音について、それが問題となっているか又は問題となりそうな地域等について、自動車交通騒音の実態をは握するため、昭和50年中に都道府県が実測した1,846測定点の測定結果で見ると、環境基準を満足する測定点は284点(全測定点の15.4%)、同様に要請基準(それを超えていることにより道路の周辺の生活環境が著しく損なわれると認められる基準であり、この基準を超える場合、都道府県知事は、公安委員会に対し、「道路交通法」の規定による措置を要請できる。)を超えない測定点は1,263点(同じく68.4%)となっている(第4-1-2表第4-1-3表)。
 50年の測定結果により、沿道において環境基準を超過している程度を見ると、第4-1-1図に示すとおりである。
 これによれば、環境基準をかなり上回っている地点もあり、これらの地点の対策としては、自動車騒音の大きさの許容限度を強化して自動車から発生する騒音を規制する発生源対策に併せて交通規制や道路対策を含む総合的な対策を行っていく必要があるといえよう。
 なお、最近は、身近な騒音問題として車や街頭に取り付けられた拡声機からの宣伝騒音、バーや深夜喫茶営業による騒音、家庭のピアノやクーラーの騒音などのいわゆる近隣騒音が大きくクローズアップされるに至っており、その対策の検討が望まれている。

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