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第3節 

6 その他の対策

(1) 水銀、PCBに係る底質除去対策
 水銀に係る底質汚染については、48年度に行った底質調査の結果によると、水銀を含む底質の暫定除去基準値を越えたものが27水域であり、また49年度及び50年度に行った底質調査においてもそれぞれ新たに3水域において暫定除去基準値を越えていた。これらの調査及び地方公共団体が独自に行った調査を総合した結果、除去等の対策を講じる必要がある水域は全国で39水域となったが、このうち52年1月末現在、底質の除去等の対策を終了した水域は、千葉港市原前面入江(千葉県)、加納井路(東大阪市)等の29水域、対策を実施中の水域は酒田港(山形県)、大江川(名古屋市)等の7水域であり、その他の水俣湾(熊本県)、大牟田港(福岡県)等の3水域については速やかに底質の除去等の対策が講じられることとなっている。なお、水俣湾においては、工事の実施及びその間における水質の監視については基本的な計画が定められ、近く工事の実施に取り掛かる予定になっている。
 また、PCBに係る底質汚染については、47年度から50年度までに行った底質調査の結果によると、PCBを含む底質の暫定除去基準値を超え、底質の除去等の対策を講じる必要があると推定される水域は73水域であり、これらのうち51年8月末現在で対策を終了した水域は敦賀湾(福井県)、大分川(大分県)等の42水域、対策を実施中の水域は伊予三島川之江港湾(愛媛県)、大江川(名古屋市)等の12水域であり、その他の京浜横浜港(横浜市)、荒田川(岐阜県)等の19水域については底質の除去等の対策の検討が進められている。
 なお、汚染底質の除去に当たっては、既に定めた「底質の処理、処分等に関する暫定指針」に従い、二次汚染が発生しないよう汚染物質等の監視を行いながら実施されている。
 また、51年度においては、48年度全国環境調査の対象水域のうち、1ppm以上検出された総水銀及びPCBを含む底質のある水域において補完調査を実施中であり、この結果問題があれば所要の対策を講ずることとなっている。
(2) 農業用水水質汚濁対策
 水質汚濁による農業被害を的確には握するため、引き続き51年度においても水質汚濁に係る農業被害実態調査(農業用水水質調査)を実施した。また、近年都市汚水による農業被害が急激に増加していることに対処するため、被害地区に現地調査ほ場を設置し、被害防止対策基準の作成を行う都市汚水等に係る対策基準調査等を実施するとともに、被害防止対策の必要な地区において、水源転換、用排水路の分離等を内容とする水質障害対策事業を引き続き実施した(51年度新規5地区、継続48地区)。
(3) 水産関係公害防止対策
 水銀、PCB等による魚介類の汚染状況調査及び沿岸水産資源開発区域の環境調査により現状をは握するとともに、埋立て、温排水の漁場環境への影響についての事前評価の手法の確立に資するため、特定海域において、総合的な調査を行った。また、全国的な公害調査指導員の配置等公害被害防止及び指導体制の整備のための助成を行った。更に赤潮防止対策として、新たに赤潮予察調査事業を実施したほか、赤潮情報交換事業、赤潮被害防止施設設置事業を引き続き実施した。
 また、漁船内で生じた廃油の処理を行うための廃油処理施設の整備、漁港の水域内にたい積したヘドロその他の有機物質の排除及び港内にある持主不明の沈廃船の処理について助成した。
 水産加工関係公害防止については、公害防止施設の管理の万全を期するため、公害防止管理者管理基準を作成するほか、水産物産地流通加工センター形成事業において共同排水処理施設の建設等を指導、助成した。
(4) 被害救済対策
 被害漁業者救済対策として、引き続き、「水銀等による水産動植物の汚染に係る被害漁業者に対する資金の融通に関する特別措置法」等により、融資機関の融資に対する利子補給補助を行うとともに、漁業共済のうち、養殖共済の赤潮特約に係る掛金の補助を行った。

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