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第3節 

4 下水道の整備

 下水道は、都市の健全な発達と公衆衛生の向上を図り、もって居住環境を改善するとともに、公共用水域における良好な水質環境を回復かつ保全するために欠くことのできない根幹的施設である。
 下水道の整備は、5箇年計画に基づき計画的に推進されてきているが、50年度に第3次下水道整備5箇年計画が終了したことに伴い、新たに、第4次下水道整備5箇年計画が51年8月31日に閣議決定された。新5箇年計画は、計画年度を51〜55年度とし、処理人口普及率(総人口に対する処理人口の割合)を50年度末の22.8%から55年度末には40%に引き上げることを目途として、総事業費7兆5,000億円(うち予備費4,000億円を含む。)と投じ、公害防止計画及び水質環境基準達成のための下水道事業、市街化区域における浸水の防除及び都市環境の整備向上を図るための下水道事業、農山漁村の主要な集落及び湖沼周辺等における環境保全のため特定環境保全公共下水道の整備等に重点を置き下水道整備の推進を図るものである。なお、本計画の事業別事業費は第3-3-1表のとおりである。
 第4次5箇年計画の初年度に当たる51年度においては、以下の施策を講じ、効率的な下水道整備の促進を図った。
(1) 下水道事業
 51年度においては、公共下水道(継続485か所、新規45か所)、流域下水道(継続49か所、新規5か所)に重点を置き事業の促進を図った。この結果、51年度末における処理人口普及率は24.6%になる見込みである。
 51年度における新規施策としては、下水道整備の円滑な推進に資するため、終末処理場における環境対策として植樹、芝張り等に要する経費を新たに補助の対象とするなど、補助対象範囲の拡大等を行ったほか、50年度流域下水道において着手した3次処理施設の建設について、51年度には公共下水道においても2か所で新規に着手した。


(2) 流域別下水道整備総合計画
 都道府県は水質環境基準を達成維持するため、個々の下水道計画の上位計画となる流域別下水道整備総合計画を定めるべきこととされている。国は、同計画の重要性にかんがみ、主要な水域について計画策定のための調査に必要な経費の3分1のを助成しており、50年度までに82流域について調査が行われている。51年度においては、琵琶湖17流域について調査を実施した。
(3) 技術の開発
 下水道事業の円滑な推進に資するため、下水処理施設及び管路施設の合理的設計法、下水汚でいの処理処分法、下水道の高度処理等の諸テーマについて継続調査を行ったほか、下水道整備総合計画に関する基本方針策定のための調査に着手した。
(4) 水洗便所の設置補助等
 衛生的かつ快適な居住環境の整備の促進を図るため、地方公共団体に対し約148億円の年金積立金還元融資(特別地方債)を行った。また、生活扶助を受けている世帯に対する水洗便所設置費補助については、559戸の水洗化を実施した。
(5) 日本下水道事業団
 地方公共団体からの委託による終末処理場等の建設事業を主たる業務として実施したほか、下水道技術者の研修、技術検定及び下水道に関する技術開発と実用化のための試験研究を行った。
(6) 国際交流
 52年4月に開催予定の第5回日米下水処理技術委員会の準備会議を51年10月に東京において開催した。
 また開発途上国に対する技術援助の一環として、国際協力事業団による第4回水質汚濁下水道集団研修が東南アジア諸国等からの研修生9名を対象として、51年9月から3か月にわたり実施された。

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