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第3節 

2 規制措置の強化

(1) 上乗せ排水基準の設定等
 公共用水域の水質保全のため、「水質汚濁防止法」により、特定施設を設置する工場及び事業場から公共用水域に排出される水については、全国一律の排水基準が設定されているが、この統一的な排水基準では環境基準を達成することが困難な水域においては、都道府県が条例でより厳しい上乗せ排水基準を設定し得るものとされている。
 現在すべての都道府県において上乗せ排水基準を設定しており、51年度に上乗せ排水基準を強化した都道府県は9道府県に上り、水質規制は一段と強化されている。
 なお、51年度に、上乗せ排水基準設定促進のため、12都県に対して水質調査費又は基準設定費の助成を行った。
 また、特定の業種について適用されてきた一般排水基準より緩い暫定排水基準は、51年6月23日で適用期限が切れ、これらの業種にも一般排水基準が適用されることとなったが、処理技術がまだ十分に確立されていない等の理由により、なお一般排水基準への移行が困難な冷凍すり身及び生すり身製造業、さつまいもでん粉製造業、ばれいしょでん粉製造業、冷凍水産物製造業、にかわ製造業、なめし皮製造業及び毛皮製造業、マンガン鉱業については、既設の事業場に限定し、かつ3年から5年以内の経過措置として、51年6月段階において可能な限り厳しくした基準値を適用することとした。
(2) 規制対象の拡大
 「水質汚濁防止法」は、旧「工場排水規制法」当時の規制対象130業種のほぼ4倍に当たる約560業種を規制対象としてきたが、更に、51年度6月には浄水施設及び中央卸売市場に係る卸売場等を特定施設に追加したが、現在なお規制の対象となっていない業種についても順次調査を実施の上規制対象として組み入れていくこととしており、51年度においては、合成樹脂製品製造業、ゴム製品製造業及び出版印刷関連業の排水の実態調査を実施した。
(3) 規制項目の追加等
 「水質汚濁防止法」で規制対象となっていない未規制項目について、排水水質等の実態をは握するため、引き続き51年度においても、アルミニウム、スズ、及び臭素の排水実態調査を実施した。
 また、温排水の規制については、50年12月に中央公害対策審議会水質部会温排水分科会で取りまとめられた「温排水問題に関する中間報告」を踏まえて、大規模な温排水の排出に係る環境影響予測手法の確立を図るための所要の調査を引き続き実施した。

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