前のページ 次のページ

第3節 

1 公害防止技術の開発状況

 我が国の公害防止技術は沿革的には比較的古い歴史を持っており、小型の電気集じん機や簡単な産業排水処理装置を例に採れば、既に戦前から開発がなされ、実用化している。しかしながら、その本格的な技術開発なり実用化がなされたのは、やはり公害規制の法律が制定されて以降のことと思われる。ただし、公害防止技術の種類別に開発時期や実用化時期を覚悟するのはそう容易ではなく、ここでは技術が体化された公害防止機器別の生産実績によって技術の実用化状況を見てみよう。第3-17図のように、昭和40年代初めにおいて、集じん装置、下水汚水処理装置、都市ごみ処理装置が生産額の多い機器であったが、40年代半ばになると重油脱硫装置と産業排水処理装置の比重も高くなり、40年代後半においては、排煙脱硫装置が急激に大きな比重を占めるに至っている。
 なお、騒音・振動防止装置は40年代半ばから徐々に生産高は増加しているものの、その伸び率は相対的に低く、全体の生産額に占める比重は微々たるものである。
 また、我が国の本格的な公害防止技術の開発は、相対的に遅く始まったこともあって、過去においては外国からの技術導入によって促進されてきた面が多かった。導入された技術の内訳を見ると、第3-18図のように、例えば自動車排出ガス処理技術が42年に導入され、また、廃水処理、水処理技術の導入が46年から急増している。これからも、技術の導入は公害規制に対応したものであることが分かる。なお、50年度のその他の件数は前年度に比べ4倍以上になっているが、これは主として排煙脱硝や脱臭に関するものであり、注目に値しよう。
 もっとも、近年においては、急速な公害防止技術の進歩により我が国においても独自に開発された脱硫技術などのように、公害防止技術が海外諸国に輸出される事例も見られるようになってきた。

前のページ 次のページ