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第1節 

2 我が国の公害防止投資の特徴

 次に、アメリカ、西ドイツと比較することによって、我が国の公害防止投資の特徴を見ることにしよう。
 先に見たように、50年度における通商産業省所管業種の民間公害防止投資比率は17.1%であったが、更に、農業、サービス業、建設業等を含めての民間公害防止投資の民間設備投資全体及び国民総支出に占める割合を推計(環境庁調べ、以下同じ)すると、50年においてはそれぞれ8.7%、1.4%である。50年のアメリカにおける民間公害防止投資の民間設備投資全体及び国民総支出に占める割合がそれぞれ5.8%、0.4%(アメリカ環境問題諮問委員会報告等による。)であるのに比べてかなり高い水準となっている。
 大気汚染、水質汚濁、産業廃棄物の種類別公害防止投資を日本、アメリカ、西ドイツについて比較してみると、第3-6図のようになるが、その特徴として、第1に大気汚染防止関係の投資の割合が日本71%、西ドイツ61%、アメリカ59%と我が国は若干高くなっていること、第2に水質汚濁防止関係の投資の割合がアメリカ35%、西ドイツ33%に対して我が国は24%と若干低くなっていること、第3に産業廃棄物関係の投資の割合がいずれの国においても1割程度になっていることが挙げられる。
 次に、製造業の公害防止投資比率を業種別に見ると(第3-7表)、我が国(51年度)では、石油34.7%、化学24.9%、鉄鋼22.3%等が高い比率を示しているのに対し、アメリカ(50年)では、非鉄金属24.1%、紙16.8%、石・粘土・ガラス14.3%等、また、西ドイツ(46〜48年)では非鉄金属10.7%、石油9.1%、鉄加工7.7%等が高い比率を示している。調査の対象範囲、時点などの相異により産業別の公害防止投資比率を正確に比較するのは困難であるが、おおむね各業種において我が国の方が高くなっていると見られる。

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