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第1章 環境の現状

 近年先進諸国は、かってない技術革新と工業化による現代文明の豊かさを享受してきたが、その過程で、無限と考えられていた大気や水という環境が汚染され、環境汚染の改善とより良き環境の創造は全人類的な課題とされるようになった。とりわけ、我が国では、戦後の高度経済成長によって生活の物的な豊かさは飛躍的に向上したが、その反面で生じた環境汚染の加速度的進行とそれによる健康被害は深刻な問題であった。このような状況を背景として、昭和42年に「公害対策基本法」が制定され、45年には「公害対策基本法」をはじめとする公害関係諸法の改正整備が行われ、更に、47年には「自然環境保全会」が制定されるなど、各種の環境保全対策が講じられてきた。まず、これまでの環境行政の成果であると同時に今後の行政の方向を定める上で必要な環境の現状について概観してみよう。

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