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第1節 

2 水質汚濁

 現行の「水質汚濁防止法」による排水規制は濃度規制によっているが、最近の水質汚濁の状況から見て、閉鎖的な水域等にあっては環境保全上必要な限度内に汚濁物質の排出量を規制するいわゆる総量規制の導入が要請されている。しかし、この方式の主要内容に係る事項に未解明の問題があるため、主要内湾、湖沼及びこれらに流入する河川の環境容量のは握のための調査及び工場排水の汚濁負荷量の自動計測機器の実用化試験を引き続き実施するとともに、東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海においては、総量規制方式について調査検討することとしている。
 水域の富栄養化対策の推進に資するため、窒素、リンについて発生源別流入量、底質からの溶出状況、プランクトンの発生状況等についての調査を目的とする栄養塩類収支挙動調査を、伊勢湾及び瀬戸内海において実施するとともに、生活系排水対策として、雑排水の処理方式を検討するための調査を実施することとしている。
 排水基準については、水質汚濁に係る環境基準の類型あてはめが行われた水域、環境基準の達成期間が到来した水域等で環境基準が達成維持できない水域における上乗せ排水基準の設定を促進し、水質汚濁防止対策の推進を図ることとしている。
 排水規制がまだ行われていない業種については、引き続きその排水に関する実態調査を実施する。また、既に実態調査を終了した自動車整備業、機械修理業等の業種については、排水規制を実施することについて検討を進めることとしている。特に、原水の浄水処理に伴う汚濁物の排出が見られる浄水場及び鮮魚の解体等に伴う汚濁物の排出が見られる水産物の中央卸売市場について、特定施設の追加を行う。
 排水規制がまだ行われていない項目についての実態調査を引き続き実施するとともに、アンチモン、ニッケル、セレン、モリブデン及び塩素については、実態調査の結果を取りまとめ検討していくこととしている。ABSについても人体に対する影響の調査結果を得て検討する方針である。窒素及びリンについては、湖沼及び海域の富栄養化対策の一環として検討する。
 温排水については、生物に及ぼす影響についての調査等を促進し、規制基準作成のための検討を行うこととしている。また、有色排水については、環境における色の評価方法について基本的な考え方を取りまとめることとしている。

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