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第6節 

3 野外レクリエーション施設、地区の整備等

(1) 長距離自然歩道
 長距離自然歩道は、国民が広く自らの足で訪ねることにより健全な心身を育成し、自然保護に対する理解を深めることを目的として、優れた風景地である自然公園や文化財などを有機的に結ぶ本格的長距離歩道である。
 四季を通じての利用可能性や都市住民の利用容易性を配慮しつつ、最初の長距離自然歩道として東海自然歩道(関係都府県(11);東京、神奈川、山梨、静岡、愛知、岐阜、三重、奈良、滋賀、京都、大阪)を49年度に完成させ、多数の国民の利用に供しており、次いで、九州自然歩道(関係県(7);福岡、大分、熊本、宮崎、佐賀、長崎、鹿児島)を55年度中の完成を目標に整備を進めることとし、50年度においては、国費72百万円をもって九州各県ごとに一日コース程度の路線(延べ約85km)をモデルコースとして整備した。
(2) 国民休暇村
 国民休暇村は、国立公園、国定公園の自然環境の優れた休養適地に低廉で健全な宿泊施設をはじめ、その地域に応じた各種の野外レクリエーション施設を総合的に整備するもので、36年度から建設が進められ、50年度までに25地区が一般の利用に供されているほか、現在3地区において建設に着手している。
 国民休暇村の施設のうち、園地、遊歩道、キャンプ場等の公共施設については国又は地方公共団体が、宿舎、ロッジ、スキーリフト等の有料施設については財団法人国民休暇村協会が、整備し、運営している。
 国民休暇村の年度別設置及び建設に要した投資額は第6-6-5表のとおりであり、利用者数の推移は、第6-6-6表のとおりである。


(3) 国民休養地
 国民休養地は、近年著しく増大している野外レクリエーション需要に対応して、都市から比較的到達の容易な都道府県立自然公園等で自然環境が良好に保持された休養適地に、自然の保護を図りながら宿泊施設をはじめ、遊歩道、園地、野営場、運動広場、休憩所等の各種野外レクリエーション施設を総合的に整備する保健休養施設である。
 45年度から地方公共団体が環境庁長官の承認を受けて整備運営しているもので、50年度までに32地区が承認を受けて整備中である。
 国民休養地における施設整備については、国民宿舎、国民保養センター、プール、球技場等の施設は年金積立金還元融資(特別地方債)により整備しており、都道府県立自然公園内の国民休養地については、3分の1の国庫補助金により、歩道、園地、駐車場、野営場等公共施設の整備を行っている。
(4) 国民保養温泉地
 温泉地のうち、温泉利用の効果が十分期待でき、かつ健全な保養地として大いに活用される場として「温泉法」第14条に基づいて環境庁長官が指定した地域を、国民保養温泉地として育成している。50年度末現在61か所7,331haを指定している。
 国民保養温泉地においては、環境庁長官が温泉利用施設の整備及び環境の改善を図るために必要な温泉地計画を定め、これに基づく公共施設を整備する場合は、保養温泉地施設整備費補助金(補助率3分の1)が交付されることとなっており、50年度においては園地野営場、駐車場等の施設整備を対象として、国庫補助を行った。
(5) 少年自然の家
 少年自然の家は、少年を自然に親しませ、自然の中での団体宿泊訓練を通じて、その情操や社会性を豊かにし心身を鍛練し、もって、健全な少年の育成を図ることを目的とする社会教育施設である。少年の学校外活動の充実を図り、これら施設の整備を一層促進するため、50年度は、地方公共団体が設置する少年自然の家10か所の施設整備について補助することとした。50年度末における公立少年自然の家の設置か所数は79か所となった。
 また、学制100年事業の一環として、公立少年自然の家の事業について助言、指導を行うなど、中核的な役割を果たすとともに、自ら広域的な少年の交流や少年教育指導者の養成・研修を行うための国立少年自然の家を全国の各区域に設置することとしているが、第1号の国立室戸少年自然の家(高知県室戸市)は、本体工事を実施し、51年3月から事業を開始するとともに、第2少年自然の家(福島県、栃木県)、第3少年自然の家(長崎県)の第2年次工事を実施し、更に、第4少年自然の家(宮城県)の初年次工事に着手した。
 また、創設調査を奈良県において行うとともに今後の設置について一般調査を行った。
(6) 自然休養林等
 国有林野事業の一環として国有林野のうち、森林を主体として、風景が優れ、かつ、林業経営との調整が図り得るところで、国民の保健及び休養の用に供することが適当と認められる地域を44年度から自然休養林として指定し、伐採制限、風致施業等を行うとともに遊歩道、園地等の利用施設を設け、森林の保健休養機能の積極的な発揮を図ることとしている。
 50年度においては、新たに7か所を指定し、50年度末における設置数は76か所、総面積は、約9.1万haとなった。
 また、森林レクリエーションの需要の増大及び目的、形態等の多様化に対処して、森林の有する多角的機能との調和を図りつつ国有林野内に各種のレクリエーション施設を整備した広域かつ総合的な森林レクリエーション・エリアを設定することとして46年度から調査を実施している。50年度においては、総合森林レクリエーション・エリアの候補地の選定調査を7か所、基本計画策定のための基礎調査を2か所実施するとともに武尊地域において整備事業を行い道路の改良等を実施したほか、新たに八幡平地域において整備事業に着手し、一部道路の改良を実施した。
(7) 青少年旅行村
 青少年旅行村は、青少年の健全な旅行の推進を図り、併せて過疎地域の振興に資するため、自然環境に恵まれた地域にキャンプ場、遊歩道等の健全な野外レクリエーション活動施設を配置した区域である。
 46年度以来、このような青少年旅行村の中核的施設を整備する地方公共団体に対して補助を行っており、50年度は64百万円の補助金をもって16か所の青少年旅行村を整備し、その合計整備か所数は80か所となっている。
 49年度までに整備を行った64か所の青少年旅行村の50年における利用者数は約77万人であった。
(8) 観光レクリエーション地区
 観光レクリエーション地区は、国民が豊かな自然の中で手軽に健全な観光レクリエーション活動を楽しむことができるよう、キャンプ場、ピクニック緑地、遊歩道、スキー場等の多様なレクリエーション施設を配置した区域である。その整備に当たっては、交通施設との整合性や自然の保護に十分配慮するとともに十分な水処理(給水及び排水)施設及び廃棄物処理施設を整備して、清潔な環境を保持することとしている。
 国は、48年度からこのような観光レクリエーション地区の中核的な施設の整備を実施する都道府県に対して補助金を交付してその整備の促進を図っている。
 50年度は補助金172百万円をもって、群馬県武尊山地区、岡山県奥津地区及び和歌山県煙樹海岸地区の整備を引き続き実施するとともに、徳島県阿南海岸地区について、51年度実施事業のための設計に着手した。
(9) 大規模公園等
 大規模公園には、広域公園及びレクリエーション都市があり、地方公共団体が主体となり、広域的な屋外レクリエーション需要に対応し、良好な樹林地、海岸等を利用して魅力ある屋外レクリエーションの場を整備するものである。
 広域公園は数市町村にまたがる地域住民の広域レクリエーション需要を充足することを目的としたものであり、50年度は、40か所の整備を実施した。
 レクリエーション都市は、レクリエーションに主体を置いた地域の整備を総合的に行うことを目的に、各種レクリエーション施設及び関連する基盤施設を整備するものであり、公共民間協力方式による第3セクターの活用により事業を推進することとしている。50年度は、補助金約36億8千万円をもって奥羽山系、九十九里、熊野灘、南予の4地区のレクリエーション都市等の大規模公園の整備を進めた。
 また、国営公園は、数都府県にまたがる広域的な屋外レクリエーション需要に対応するため、あるいは国家的な記念事業として建設省直轄により整備される公園である。
 現在、武蔵丘陵森林公園及び飛鳥歴史公園が供用を開始されており、淀川河川公園、海の中道海浜公園及び沖縄国際海洋博覧会記念公園が整備中である。
 50年度は、整備費24億8,700万円、維持費4億6,400万円をもって上記の事業を実施した。

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