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第1節 

4 慢性砒素中毒症

(1) 土呂久における慢性砒素中毒症
ア 沿革
 宮崎県土呂久地区に発生した慢性砒素中毒症に関する経緯は次のとおりである。
 46年11月 土呂久鉱山周辺についての環境調査及び社会医学的調査の実施
 47年7月 慢性砒素中毒症と思われる者7人が認められた旨の報告
 8月 宮崎県による医療救済措置の実施
 12月 医療救済措置を受けた7人と住友金属鉱山株式会社との間で県知事の補償あっせん(第一次補償あっせん)成立
 48年2月 救済法による地域指定
 49年2月 救済法による被認定者5人につき県知事の補償あっせん(第二次補償あっせん)成立
 49年9月 補償法による地域指定(救済法から引継ぎ)
 12月 救済法による被認定者10人につき県知事の補償あっせん(第三次補償あっせん)成立
イ 現状
 48年2月の地域指定以降、救済法及び補償法によって認定を受けた者は、51年2月末現在40人(ほか死亡者1人)である。50年5月に23人につき県知事の補償あっせん(第4次補償あっせん)が成立した。その結果、上記の者のうち、38人(死亡者1人を含む)については、住友金属鉱山株式会社との間に県知事の補償あっせんが成立している。
 50年12月に第一次補償あっせんを受けた者のうち2人と、第三次補償あっせんを拒否した3人等が原告となり、住友金属鉱山株式会社を被告とする損害賠償請求訴訟が提起されている。
 なお、宮崎県知事の処分を不服として公害健康被害補償不服審査会に対して、51年2月末現在4件の審査請求が提出されている。
(2) 笹ヶ谷における慢性砒素中毒症
ア 沿革
 島根県笹ヶ谷地区に発生した慢性砒素中毒症に関する経緯は次のとおりである。
 45年 島根県は、笹ヶ谷鉱山周辺地域において砒素による環境汚染を確認
 47年7月〜11月 住民健康調査の実施
 48年8月 上記調査に基づき、慢性砒素中毒症と思われる者7人、疑いのある者5人、要経過観察者16人が認められた旨の報告
 49年7月 救済法による地域指定
 7月〜8月 救済法により16人を認定
 9月 補償法による地域指定(救済法から引継ぎ)
イ 現状
 49年7月以降救済法及び補償法によって認定を受けた者は、51年2月末現在16人(ほか死亡者1人)であり、これらの者は補償法による救済を受けている。

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