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第5節 

1 悪臭の現況

 悪臭はきゅう覚という人の感覚に直接知覚されるものであるだけに、古くから多くの地域で社会問題となってきた。
 環境庁において、各都道府県、指定都市に依頼して行った悪臭苦情・陳情の件数(昭和49年)を見ると、16,268件となっており、業種別では畜産業が32.6%で最も多く、次いでサービス業、その他が27.0%となっている。
 地方自治体が受理した苦情を東京都及び9指定都市を除く46道府県と9指定都市とに分けて集計し、業種ごとの割合を全国集計分と比較して、苦情の発生傾向を見たのが、第4-5-1図である。都市型の悪臭公害が発生していると見られる指定都市においては、当然のことながら畜産に係る苦情が少なく肥飼料、食品、化学以外の製造業及びサービス業、その他に分類される業種の占める割合が大きくなっており、都市における悪臭発生源の多様化が推測される。
 悪臭の原因となる物質については、業種、事業の規模、作業方式等により種々異なるが、現在政令で定められている5つの悪臭物質とこれを排出する主要な発生源事業場は第4-5-1表のとおりである。
 悪臭公害の実情に即した規制を実施するためには、現在の指定5物質だけでは十分でなく、他の物質についても早急に規制をすべく、実情を調査し検討を行った。

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