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第3節 

2 廃棄物処理対策

(1) 廃棄物処分規制の強化
 PCB及び有機塩素化合物を含む廃棄物の処分基準等の設定等を行うため、50年12月「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」及び「海洋汚染防止法施行令」を改正し、51年3月1日から施行した。その概要は次のとおりである。
? PCB及び有機塩素化合物を含む廃棄物に係る処分基準の設定
 PCB原液、PCB入りの電機部品、PCBが塗布された廃感圧複写紙、PCB入りの部品が使用された廃家電製品、PCBを含む汚でい、廃酸及び廃アルカリ等PCBを含む廃棄物の埋立処分基準及び海洋投入処分基準を設定した。なお、PCB入りの電機部品等の処分については、(財)電機ピーシービー処理協会において回収及び処理を行うこととなっており、同協会において処理施設の建設が計画されている。また、PCBが塗布された廃感圧複写紙についても、ピーシービー入り旧ノーカーボン紙処理協会において対策を講じつつある。また、PCB以外の有機塩素化合物を含む汚でい、廃酸及び廃アルカリの海洋投入処分基準を設定した。
? 有害物質を含む廃酸及び廃アルカリ等に係る海洋投入処分基準の具体化
 水銀等の有害な物質を含む廃酸及び廃アルカリについては、海洋投入処分が禁止されていたところであるが、新たにその有害性についての明確な判定基準を設定し、同様の趣旨で、油分を含む汚でい、廃酸及び廃アルカリの海洋投入処分基準についても、判定基準を設定した。
? その他の改正
 有害物質を含む汚でい等の産業廃棄物の処分規制は、有害物質ごとにその規制対象施設を定めているところであるが、新たに、鉛に係る酸又はアルカリによる表面処理施設及び電気メッキ施設の追加を行った。また、「海洋汚染防止法施行令」に基づく有害水底土砂の規制について、水域指定制度を廃止し、すべての水域について規制を及ぼすこととした。
(2) 廃棄物処理対策
? 一般廃棄物
 一般廃棄物については、施設の整備拡充を図ることにより、処理能力の向上を図る必要がある。このような観点から「廃棄物処理施設整備緊急措置法」に基づく廃棄物処理施設整備計画の最終年度に当たる50年度は、し尿処理施設整備費補助44億円、ごみ処理施設整備費補助197億円をもって、その計画的な整備を行った。
? 産業廃棄物
 50年夏、重クロム酸ソーダ等6価クロム化合物の製造に伴って生じる6価クロム鉱さい埋立地周辺の環境汚染が社会問題となったことに伴い、環境庁では、厚生省及び通商産業省とともに、6価クロム鉱さい埋立地が存在する関係地方公共団体等を通じ、実情のは握に努めるとともに、学識経験者の意見を聴いて6価クロムの標準的な環境調査方法を定め、これを関係地方公共団体に通知し、関係地方公共団体における環境調査の指導及び助成を行った。また、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」施行以前に埋立処分された6価クロム鉱さいの埋立地の中にはそこからの浸出液等による環境汚染が問題となったところがあり、関係地方公共団体において、その防止対策が逐次講じられてきたが、環境庁においても学識経験者の意見を聞いて技術的な面から対策の検討を行った。更に、6価クロム鉱さい以外の有害産業廃棄物についても早急に、その実態をは握する必要があるため、全国統一実態調査を行うこととし、50年9月以来厚生省の指導の下に都道府県等において調査が着手され、50年度においては、6価クロムに関連する産業廃棄物の排出事業所約12,000事業所の調査を行った。
 また、6価クロム鉱さい問題を契機として産業廃棄物問題が社会的に大きくクローズアップされたことにかんがみ、環境庁では50年9月関係省庁(環境庁、厚生省、通商産業省、運輸省、農林省、建設省、自治省及び国土庁)からなる「産業廃棄物問題関係省庁協議会」を設置し、産業廃棄物の適正な処理を図るための法制その他の体制の整備について検討を行った。同協議会は同年11月その検討結果を「産業廃棄物処理に係る廃棄物の処理及び清掃に関する法律の改正等に関する検討事項」として取りまとめた。他方、厚生省においても48年11月に、厚生大臣の私的諮問機関として産業廃棄物処理問題懇談会を設けて、産業廃棄物対策のあり方について制度及び技術の両面から検討を行ってきたところであるが、同懇談会は、50年12月8日、その結果を「産業廃棄物対策に関する報告」として取りまとめ、厚生大臣に報告を行った。更に前述のように50年夏以来の6価クロム鉱さい問題を契機として、産業廃棄物処理に関する制度改善が強く要請されるに至ったため、50年9月22日厚生大臣の諮問機関である生活環境審議会に、その改善方策について諮問した。同審議会は「産業廃棄物処理に関する制度の改善方策について」を取りまとめ、同年12月11日厚生大臣に答申した。答申は、当面直ちに改善すべき事項を中心として取りまとめられたものであり、産業廃棄物の処理について事業者責任を徹底させ、そのための監視・指導体制の整備等を図ることが必要であるとしている。
 なお、廃棄物の適正処理のためには、廃棄物の再資源化を図ることにより、廃棄物の量そのものを減少させることが必要である。このため、50年度においては、民間における廃棄物再資源化促進のための推進母体として(財)クリーンジャパンセンターが発足した。同センターは、50年度は国の助成により、千葉県市原市及び静岡県沼津市における再資源化モデル実験の援助を行うこととするとともに、再資源化の重要性の啓もう普及を行い、再資源化のための調査、研究及び指導等を行った。

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