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第1節 

3 航空機騒音及び新幹線鉄道騒音対策

(1) 航空機騒音
ア 環境基準
 航空機騒音、特にジェット機の騒音は、騒音レベルが高く、また、広範囲に及ぶため、飛行場周辺においては生活環境上大きな問題となっている。このため、航空機騒音の音源対策、土地利用対策等の総合的な施策の目標となる環境基準が48年12月27日に定められ(第4-1-7表参照)、現在、都道府県において地域類型の当てはめ作業が進められているところである。50年度末で、千歳、新千歳、札幌、旭川、函館、帯広、釧路及び仙台飛行場周辺について当てはめが行われている。
イ 大阪空港訴訟
 航空機騒音問題の1つの焦点となっていた大阪国際空港周辺の住民が提訴していた訴訟事件について、49年2月27日の第1審判決に引き続き、50年11月27日大阪高等裁判所において控訴審判決が出された。
 この判決は、?午後9時から翌朝7時までの間緊急やむを得ない場合を除き飛行場を供用してはならない、とし、?原告住民に対する過去の損害賠償を認めたほか将来請求についても認容する、などの内容であった。国は同年12月2日にこれを不服として上告した。
 環境庁としては、空港周辺住民の生活環境を保全する立場から、この件に関し、運輸省に対し夜9時以降、国内線の飛行を中止すること等所要の申し入れを行ったところである。更に、この訴訟の上告の決定に際し、エアバスの同空港への乗入れが問題となってきたので、50年12月2日環境庁から運輸省に対し、エアバス導入に伴う環境影響評価を行い、見解の一致を待ってエアバスを導入するよう申入れを行った。現在この申入れの趣旨に沿って、排ガス、騒音問題等環境影響評価の検討を行っている。
ウ 航空機騒音対策
 航空機騒音対策は、「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律」及び「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」を中心に進められている。
 公共用飛行場についての発生源対策としては、機材改良、便数調整、運航方式の改良等が行われている。特に機材改良の1つとして、50年10月10日から「航空法」の一部改正により「騒音基準適合証明」が制度化された。これによって新しく製造されるジェット機及び改造が可能な在来機については、その騒音が一定の基準以下となるよう規制されることとなった。空港周辺対策としては一定区域内にある?住居の移転及び土地の買取り補償、?民家及び学校・病院等の防音工事の助成、?テレビ難視聴に対する助成等を行っており、土地利用のあり方についても、その法制化を含めて検討が行われているところである。空港構造の改良として、滑走路延長・移転、防音林の設置等の対策が行われている(第4-1-8表参照)。
 自衛隊又は駐留米軍の航空機の騒音対策としては、「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」(昭和49年6月27日施行)等により、学校、病院、住宅等の防音工事の助成、飛行場周辺の建物等の移転補償、土地の買取り、緩衝緑地帯の整備、テレビ受信料の減免措置に対する補助、騒音用電話器設置に対する補助等の施策を講じている。
 また、音源対策として、自衛隊又は駐留米軍の航空機の運用に当たって、消音装置の使用、飛行方法の規制等についての配慮を行っている。


(2) 新幹線鉄道騒音
 新幹線鉄道騒音は、輸送増加等に伴い、沿線地域においては生活環境保全上深刻な社会問題となっており、新たな新幹線鉄道建設に対しても反対運動が生ずるなどこの解決は極めて重要な課題となってきている。このため、47年12月、環境庁長官から「環境保全上緊急を要する新幹線鉄道騒音対策についての当面の措置を講ずる場合における指針」が運輸大臣に勧告され、これに基づいて音源対策として防音壁の設置、鉄げたの防音工事等を行うとともに、障害防止対策として住居、学校、病院等の防音工事、住居の移転補償等が実施されてきたところであるが、50年6月28日に「新幹線鉄道騒音に係る環境基準の設定について」中央公害対策審議会から答申があり、環境庁は、7月29日同答申に基づいて新幹線鉄道騒音に係る環境基準を告示した。現在、都道府県において地域類型の当てはめ作業が進められているところである。また、51年3月には、新幹線鉄道騒音に係る環境基準の円滑な達成に資するため、音源対策障害防止対策、沿線地域の土地利用対策等を強力に推進することを内容とする新幹線鉄道騒音対策要綱が閣議了解され、騒音防止対策が本格的に進められつつある。環境基準の要旨は、第4-1-9表のとおりである。
 なお、新幹線鉄道騒音に対する住民反応及び騒音防止対策技術等は、第4-1-10表第4-1-11表及び第4-1-12表に示すとおりである。

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