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第1節 

1 騒音の現況

 騒音は各種公害のなかでも日常生活に関係の深い問題であり、また、その発生源も多種多様であることから、例年、騒音に関する苦情件数が公害に関する苦情のうちで最も多数を占めている(第4-1-1表)。
 これは、近年における都市地域の拡大、工業地帯の増加、都市交通機関の高速化、走行自動車台数の増加に伴い、騒音問題が一部地域の問題にとどまらず、全国的な問題へと発展してきたことによるものと考えられる。
 しかし、昭和49年には、騒音苦情件数が減少に転じたことが注目される。次に騒音の種別ごとに苦情件数の内訳を見ると、第4-1-2表のとおり、工場・事業場騒音が最も多くを占め、建設騒音がそれに次いでいる。
 自動車、航空機等交通機関に起因する騒音の苦情件数は、騒音に関する苦情件数全体から見れば少ないが、交通騒音は、近年、訴訟等も提起され、大きな問題となっている。ちなみに、49年中に自動車交通騒音についてそれが問題となっているか又は問題となりそうな地域等について都道府県が実測した1,460測定点の測定結果で見ると、環境基準を満足する測定点は205点(全測定点の14%)、同様に要請基準(それを超える場合、都道府県知事は公安委員会に対し「道路交通法」の規定による措置を要請できる。)を超えない測定点は1,096点(同じく75%)となっており、48年のそれぞれ13%、70%からいずれも若干の改善を示している(第4-1-3表)。
 なお、最近は、車や街頭に取り付けられた拡声機からの宣伝騒音、バーや深夜喫茶等の深夜営業による騒音、家庭のピアノ、クーラーなどによるいわゆる近隣騒音等も無視できない状況になってきている。

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