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第4節 

3 油濁損害補償対策

 油濁事故が起こった場合の補償制度として国際的には、船主の一般的な責任制度を定めている1957年の「海上航行船舶の所有者の責任の制限に関する国際条約」(1968年5月発効)の特別法的立場に立つ1969年の「油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約」(1975年6月発効)及びこれを補足する1971年の「油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約」(未発効)が採択されている。
 このうち油濁関係2条約は、?タンカー船主に無過失責任を課すること、?1957年の船主責任条約による他の一般損害についての船主の責任限度額に比し、油濁損害についてのタンカー船主の責任限度額を倍に引き上げること、?2千トンを超える油を輸送するタンカーに責任保険契約の締結を強制すること、?油濁損害の被害者に対する補償を徹底させる等のため国際基金を設立すること等を内容とし、従来の制度に比し、被害者保護の面で飛躍的に前進するものである。
 我が国においても昨年の第76回国会において、前記3条約の批准の承認を得るとともに、それらの国内法化のための法律である「船舶の所有者等の責任の制限に関する法律」及び「油濁損害賠償保障法」が成立するに至った。この2法は、51年9月から施行される予定であり、船舶については責任制限制度が残されているが、これによりタンカーによる油濁損害の被害の十分な保護が図られることが期待される。

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