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第2節 

3 産業廃棄物対策の基本的方向

 産業廃棄物問題関係省庁協議会(環境庁、厚生省、通商産業省、運輸省、農林省、建設省、自治省及び国土庁)において、廃棄物処理法及びこれに関連するその他の産業廃棄物処理体制の整備に関する検討事項が整理された(50年11月)ほか、産業廃棄物処理問題懇談会(厚生大臣の私的諮問機関)による「産業廃棄物対策に関する諸問題」の報告(50年12月)、生活環境審議会(厚生大臣の諮問機関)による「産業廃棄物処理に関する制度の改善方策について」の答申(50年12月)が相次いで取りまとめられた。これらの答申等によれば、今後産業廃棄物の処理対策の基本的な方向とされている主要なものは次の3つである。
 第1は、事業者責任の原則に立脚しつつ、産業廃棄物の発生から最終処分に至る各段階において適正な処理を行わせるための法制度の整備を図ることである。
 まず、事業者処理責任の原則にのっとって、事業者にその責務を履行させ、また、処理業者制度の適正な運用を図るため、?違法行為に対する罰則、回収命令等の規定の整備、?産業廃棄物処理責任者の選任等による事業者の責任体制の整備、?産業廃棄物処理業者の監督の強化等の措置が必要である。次に、産業廃棄物の発生から最終処分に至る実態を適確には握しなければならない。このため、産業廃棄物の処理の実態に関し、行政庁が適時に所要の情報をは握することができるように、?事業者、産業廃棄物処理業者の処理状況の記録、保存、?一定の事業者、産業廃棄物処理業者の定期的報告、?埋立処分地の届出等を義務付ける措置を講ずることが必要である。
 第2は、産業廃棄物の適正処理の実効を確保するための効果的な対策の推進である。産業廃棄物の適正な処分を進めるに当たっては、確保が困難な最終処分地の確保等重要な課題があるが、これらについては、事業者による費用負担を原則としつつ、適切な公的関与を含め、効果的な対策の推進を検討することが必要である。
 第3は、産業廃棄物の再資源化の促進により、産業廃棄物の廃棄処分対象量の減少を図ることである。これについては、産業廃棄物の埋立処分地の確保の困難な状況、省資源の見地等から、極力産業廃棄物の再資源化を図っていくことが必要である。
 このため、技術開発の推進、回収体制の整備、再資源化事業の育成、再資源化物資の市場開拓等を図らなければならない。

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