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第1節 

3 交通騒音対策

 航空機騒音、新幹線騒音、幹線道路における自動車騒音については、近年住民運動や訴訟が発生し、大きな社会問題として取り上げられ、その重要性が認識されてきたが、今後の運輸交通網の拡大に伴い、交通騒音問題は、ますます大きな課題となるものと予想される。
 騒音については、理論的には音源で3ホン減少させれば、同一の騒音の大きさの影響を受ける地域の面積が1/2に減少すると考えられている。このような理論的な関係がそのまま実際の交通騒音に当てはまるわけではないが、騒音防止対策として発生源において騒音を低減させることに極めて大きな効果があることは明らかである。
 このような観点から、第3-5表に掲げるような騒音の発生源における対策が実施されているが、発生源における騒音の低減にはおのずから限度があるので、環境基準達成のために、騒音を受ける周辺の地域において、次に述べるような周辺対策を進めるほか、更に、今後は、そのような周辺対策が後追い的とならないように周辺の土地利用のあり方につき検討する必要がある。
 道路については、51年度から有料の自動車専用道路の沿線における住宅のうち、騒音による影響が特に著しいものについて、緊急的措置として防音工事の費用の助成、移転の助成等が行われることとなっている。
 新幹線については、49年度から住宅等の防音工事の助成及び移転補償が実施されているが、51年3月に、新幹線鉄道に係る環境基準の円滑な達成に資するため、音源対策、障害防止対策、沿線地域の土地利用対策等を強力に推進することを内容とする新幹線鉄道騒音対策要綱が閣議了解され、騒音防止対策が本格的に進められることとなった。
 航空機騒音については、「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律」に基づき、空港周辺の一定地域内の土地の買入れ、緑地帯の整備、建物の移転補償、住宅、学校、病院等の防音工事の助成、学習休養等に供する共同利用施設整備の助成等が行われている。また、空港周辺が市街化していたり、今後市街化が予想される空港は、周辺整備空港に指定し、都道府県知事が周辺整備計画を策定して、地域開発等を実施できることとなっており、現在、大阪国際空港が周辺整備空港として指定されている。
 これらのいわゆる周辺対策は、航空機騒音について見れば、第3-6図に示すとおりの資金によって実施されているところであるが、これらの施策は、今後も発生源における対策とともに、更に強力に推進されなければならない。
 このために必要な資金は、決して少ないものではあり得ないが、これらの資金は、原則として、汚染者負担の原則に沿って、これら交通施設の設置者等の各原因者が第一義的に負担し、企業努力を尽くすことを前提とした上で、これら施設の利用者に料金として転嫁される方法によって調達すべきものであろう。
 なお、自衛隊又は駐留米軍の航空機騒音についても、「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」により、上記の公共用飛行場周辺における航空機騒音の場合と同様の対策が講じられている。

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