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第3章 環境保全の主要課題

 我が国の公害行政は、「公害対策基本法」を頂点とした各種規制法の整備、環境基準の設定、公害防止計画等の策定、公害健康被害補償制度の樹立等ようやく制度面における基本的な整備を終えたところといえよう。しかし、なお、解決すべき問題は少なくない。
 まず、環境基準の達成という観点から見れば、一部汚染因子を除いては、なお対策の推進が必要となっている段階にあり、企業経営の悪化や財政収入の確保難などが予想される安定成長の下で、環境基準の達成、維持を図っていかなければならない。また、昭和50年の6価クロムを含む廃棄物問題に端を発して明らかになってきた産業廃棄物対策の遅れ、公害による物的被害の救済問題、未然防止の徹底を図るために効果的な環境影響評価を実施するための制度等の体制の整備など、これらが今後の課題である。
 なお、環境保全のための諸施策を効果的に推進するためには、理工学、医学、農業等の広範な専門分野の参加を求めて公害の防止に資する科学技術の一層の振興を図り、公害防止技術の開発、汚染メカニズムの解明、汚染影響のは握、環境管理システムの開発等を引き続き促進させることが基本的に必要である。

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