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第11節 金属鉱山等の鉱害防止対策

 金属鉱業等においては、鉱害を防止するため、「鉱山保安法」に基づき所要の対策を講じているものの、鉱山周辺で長年月の間にカドミウム等の重金属が土壌等に蓄積されたいわゆる蓄積公害に対する施策は、今後一層促進する必要がある。このため、昭和50年度は、蓄積公害に対する抜本的対策の確立を目指し、鉱業審議会答申(49年7月)の趣旨に沿い、以下に述べる施策を講じることとしている。
(1) 休廃止鉱山鉱害防止工事の促進
 46年度より地方公共団体の実施する鉱害防止義務者不存在等に係る休廃止鉱山鉱害防止工事については、工事費の3分の2を補助金として交付してきたが、50年度は対策工事の一層の促進を図るため補助率を3分の2から4分の3に引き上げ、地方公共団体の負担の軽減を図ることとしている。また、これら工事が技術的問題を内包していることにかんがみ、金属鉱業事業団が大規模又は技術的に困難な工事について積極的にこれを支援指導することとしている。これらの措置により52年度までに、一部技術的な問題のある鉱山を除いては、鉱害防止義務者不存在等に係る蓄積公害源を一掃する計画である。
(2) 金属鉱業事業団鉱害防止業務の拡充
 金属鉱業事業団では、従来から使用済特定施設に対する鉱害防止事業に必要な資金の融資等の業務を行ってきた。50年度は、「公害防止事業費事業者負担法」に基づく負担金に対する融資制度を創設し、公害防除土壌改良事業の促進を図るとともに、鉱害防止のための技術開発、情報収集等の業務の抜本的拡充を行うこととしている。また、これに伴い金属鉱業事業団の機構を大幅に拡充することとしている。
(3) 休廃止鉱山の実態は握
 我が国には約6,000の休廃止鉱山があると推定されるが、これら休廃止鉱山すべての実態をは握すべく、45年度より緊急度の高い鉱山から計画的に調査を実施してきた。
 50年度は、約1,200鉱山について地方公共団体に概査を委託するとともに、約400鉱山について鉱山保安監督局(部)で精査を実施することとしている。
(4) 金属鉱業坑廃水対策等調査
 休廃止鉱山等に係る坑廃水対策について、鉱山周辺の環境対策等も考慮に入れた広範囲の問題として検討を加えるとともに、坑内に侵入する地表水及び地下水のしゃ断等に関する鉱害防止技術の調査研究を行うこととしている。

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