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第1節 

1 公害健康被害補償法の実施

(1) 概要
 「公害健康被害補償法」は、公害に係る健康被害者に対し、その損害をてん補するための補償給付の支給を行うとともに、被害者の福祉に必要な公害保健福祉事業を行うことにより、被害者の迅速かつ公正な保護を図ることを目的とするものであり、昭和49年9月から実施に移された。
(2) 指定地域の拡大
 本制度の対象地域については、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる著しい大気の汚染(又は水質の汚濁)があり、かつ、その影響による疾病の多発している地域を政令で指定することとなっているが、49年度においては、東京都、富山市、高岡市及び新湊市、名古屋市、大阪市、備前市、倉敷市並びに玉野市のそれぞれ一部の地域について、地域指定のための基礎調査を実施しているので、これら調査の解析評価のなされた段階で地域指定要件に基づいて所要の地域拡大が行われる見込みである。
(3) 給付内容等の充実
 第1種地域に係る被害者に対する補償給付費及び公害保健福祉事業費(原因者負担分2分の1)については、制度の平年度化、被認定者数の伸び等により、約200億円(49年度は40億円)は要すると見込まれるので、固定発生源負担分は汚染負荷量賦課金としてその80%相当額を徴収することとし、自動車負担分(20%)は自動車重量税収入から3,924百万円(49年度800百万円)を予算に計上することとしている。
 なお、介護加算については、50年10月から現行1万8千円を2万3千円に引き上げ、療養手当についても、現行5千円ないし9千円を9千円ないし1万4千円に引き上げることとしている。
 また、被認定者の健康の回復、保持、増進等を図るための公害保健福祉事業については、リハビリテーション、転地療養、療養用具支給及び家庭療養指導の各事業を実施することとして、総事業費8億円(49年度4億円)のうち、国の助成費としては2億円(国の負担4分の1、49年度1億円)を予算に計上することとしている。
(4) 不服審査事務体制の確立
 公害健康被害補償不服審査会の庶務を充実するほか、既に100件近く提出されている救済法による処分についての審査請求及び不作為についての審査請求に関する事務を処理するため、50年4月から組織の強化を図ることとしている。

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