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第3節 

1 公害防止事業団

(1) 事業田の業務
 公害防止事業団は、「公害防止事業団法」に基づき、昭和40年10月に設立され産業公害を防止するため造成建設事業及び貸付事業を行っている。そのほか、「公害健康被害救済特別措置法」に基づき49年8月31日までに都道府県等において申請の受理を行ったものについて納付業務を行っている。
ア 造成建設事業
 造成建設事業は、次の4種類に大別されており、事業団はこれらの施設を設置しようとする事業協同組合等又は地方公共団体からその造成建設業務を受託し、その施設を完成し、委託者に対し建設原価をもって長期かつ低利の割賦条件で譲渡することとしている。
(ア) 事業者が共同で利用するための共同公害防止施設の建設・譲渡
(イ) 産業公害防止のための共同利用建物(工場アパート)の建設・譲渡
(ウ) 公害発生企業の集団化に必要な工場移転用地の造成・譲渡
(エ) 産業公害が発生する地域において、その発生を防止するために必要な共同福利施設(緩衝緑地施設)の造成・譲渡
イ 貸付事業
 貸付事業は、公害防止施設を設置しようとする事業者に対し、その設置に必要な資金を融資する業務である。貸付対象施設は、ばい煙処理施設、粉じん防止施設、特定物質処理施設、緊急時用低硫黄燃料貯溜施設、汚水処理施設、騒音防止施設、悪臭防止施設、産業廃棄物処理施設及び産業廃棄物処理業者が設置する産業廃棄物処理施設に限定されている。貸付けの条件は、施設の設置に必要な資金について中小企業等は80%以内、大企業は50%以内の融資比率で、長期かつ低利の融資を行うこととしている。なお、貸付業務は市中金融機関を通ずる代理貸付によっているが、貸付決定 は公害防止事業団が行うこととなっている。
(2) 49年度の事業
 49年度の当初の事業規模(債務負担行為限度額)は820億円(造成建設事業220億円、貸付事業600億円)であったが、公害規制の強化に伴い企業における公害防止設備投資が極めて活発化し、金融引締めの影響もあって公害防止事業団に対する貸付申込みは、当初の貸付事業枠を大きく上回った。
 このため特に緊急性の高いものや中小企業者からの需要を考慮し、50年1月、貸付事業に対し200億円の追加(資金充当率100%)を行った。この結果49年度の造成事業を含めた事業規模は1,020億円となり、48年度事業に比べて39.7%の増加となった。また、これに伴う49年度の資金規模も973億円(財投資金803億円、自己資金等170億円)となり前年度比40,6%の増加をみるに至った(第9-3-1表参照)。
 上記の事業規模による公害防止事業団の事業実績は、第9-3-2表及び第9-3-3表のとおりである。

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