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第2節 

1 取締りの基本方針等

(1) 取締りの基本方針
 「人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律」が制定され、また「大気汚染防止法」、「水質汚濁防止法」等の公害規制法親に、直罰規定が設けられること等の法体系の整備に伴って、これらの罰則に該当するいわゆる公害事犯の取締りが、警察活動の重要な分野を占めることになった。
 警察としては公害の防止に寄与する立場から、公害関係事案の処理に当たっては関係行政機関と緊密な連絡を保ちつつ、事案に即し指導、警告、検挙等の措置を講じることとしている。
 特に、公害事犯の取締りは、関係行政機関の施策と密接な関連があることにかんがみ、地方公共団体の公害主管部局等との緊密な連絡を保持し、また、公害事犯は、その内容、被害の状況等態様が多岐にわたるので、取締りに当たっては、その必要性を的確に判断し、行政機関の措置によることが適当と認められるものについては、迅速に必要な措置要請を行うこととし、悪質又は重要と認められるものについては、厳格な検挙措置を講じることとしている。
(2) 取締りの重点
 警察としては、公害の実態や法制の仕組み等を勘案して、水質汚濁事犯並びに水質汚濁や悪臭等の原因となる産業廃棄物の不法投棄事犯を主たる対象に
? 法令に定める人の健康の保護及び生活環境の保全に係る基準を著しく超えて、有害物質等を排出する事犯、?有害物質等を含有し又は悪臭を発する廃棄物等を不法に処分する事犯、?行政機関による指導措置、改善命令等に反して行われる事犯に重点をおいて取締りに当たることとしている。
 特に昭和49年においては、
? 瀬戸内海に流入する河川等における水質汚濁事犯の計画的取締り
? 汚濁の著しい河川等における計画的な水質汚濁事犯の取締り
? 首都圏近畿圏等における産業廃棄物の不法投棄事犯の広域的取締りを取締り重点とし、計画的取締りを実施した。
(3) 公害の取締体制の強化
 公害事犯の取締りの徹底を図るため、49年度において、各都道府県警察の公害事犯取締り要員の増員を図り、また、取締用資器材の整備を図るとともに、警察庁に公害課を新設し、また、各都道府県警察においても、取締り体制の整備強化を図った。

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