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第3節 二国間協力等の推進

 第3回日米公害閣僚会議が46年以来3年ぶりに49年5月17日から20日まで東京において開催され、日本側から三木環境庁長官を長とする代表団が、米国側からはピーターソン大統領環境問題諮問委員会委員長を長とする代表団が参加した。
 この会議では、環境保護の分野における最近の進展、環境アセスメント、エネルギー資源とその利用に関連する環境問題、大気汚染防止策及び自動車公害防止規制、水質汚濁防止策、難分解性有害化学物質の規制、土地利用計画及び経済成長と環境保護政策等について積極的な意見の交換が行われた。
 その結果、最近の情勢にかんがみ、適切な汚染防除措置が講じられないエネルギーの大量消費が環境汚染の主要な原因の1つであったことを再確認し、エネルギーの節約と汚染のないエネルギー資源の開発のため最大の努力が払われるべきことに意見の一致を見た。
 そして、光化学大気汚染等従来からの4つの協力分野に加えて、今後は環境アセスメント、有害汚染物質を含む堆積汚でい処理、大気汚染気象、汚染物質の健康影響、有害物質の識別と規制及び工場排水処理のクローズドシステム化技術の分野でも協力を進めることとなった。
 49年5月三木環境庁長官は英国のクロスランド環境大臣の招待により訪英し、会談を行った。
 この会談では日英双方がそれぞれ抱えている環境上の重要な問題点について、特に自動車排出ガス規制を中心としたエネルギーと環境の問題、北海油田開発やロンドン第3空港問題を中心とした環境アセスメント等について意見交換を行ったが、日英が環境問題について話合うことは有意義であり、今後もこの種の協力関係を継続することで意見の一致を見た。
 49年10月には欧州共同体(EC)の代表団が来日し、環境問題に関し広範な意見の交換を行った。
 自然保護の分野では、天然資源の開発利用に関する日米会議(UJNR)の一環として「第8回国立公園及び同等保存地域に関する日米会議」が49年6月19日から7月2日まで、米国のエパークレイズ国立公園及びバージン・アイランズ国立公園で開催された。
 この会議では、海中公園、自然保護と私権の調整、国立公園の収容力と自動車利用規制及び絶滅のおそれのある鳥類の保護及び人工増殖等10の分野にわたって討議を行った。
 日米渡り鳥等条約は49年9月19日、ワシントンで批准書の交換が行われ、効力が発生した。同時に日米間の渡り鳥として「ずぐろみぞごい」が加えられ、190種の鳥類がこの条約の対象として保護されることになった。
 開発途上国における環境管理行政を援助するための環境行政担当者セミナーは昨年第1回が開催され多大の成果を収めたが、第2回は前回より期間を延長し50年2月17日から1か月間我が国の環境政策、環境行政、公害の実態等を題材としてより一層充実した内容で催され多大の成果を収めた。
 また、環境問題の多様化と国際化を反映して各国政府や国際機関からの情報提供、研修あるいは技術協力の依頼等はますます増加の傾向にあり、極力これらの要請に応じるよう努力している。
 特に49年6月23日から7月6日まで、タイ国政府の要請によりメクロン川及びターチン川等の水質調査を行うための調査団が海外技術協力事業団(現在は国際協力事業団)により派遣され、今後我が国としてどのような有効適切な協力をなし得るかの判断資料の収集等が行われた。

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