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第5節 

3 森林の保全と緑化の推進

 森林の保全を図るため、「森林法」に基づく森林計画制度の適正な運用により、地域の自然的、社会的、経済的条件を十分に勘案した適正な森林施業を図るとともに、保安林制度の強化、森林病害虫等防除対策の推進、森林保全管理事業の推進、国土の緑化の推進等により森林資源の維持増強と森林の多角的機能の発揮を図っている。
(1) 「森林法」の一部改正
 「森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律」が第72回国会において成立し、49年5月1日公布された。今回が森林法」の改正は、森林の有する国土保全、水資源のかん養、自然環境の保全及び形成等の公益的機能と木材生産等の経済的機能の総合的かつ高度の発揮を確保するため行ったものであり、森林の保全に関しては、森林計画樹立に当たって良好な自然環境の保全、形成等公益的機能の維持増進に対する配慮を明文化し、一定規模を超える開発行為に対して国土の保全、水資源のかん養、環境の保全等の観点から林地開発許可制度を導入する等の措置が講じられている。
(2) 保安林
 保安林の指定面積は、48年度末現在697万haで、そのうち、公衆の保健及び風致の保存を目的とする保健保安林及び風致保安林は2万6,334haであり、引き続き保健保安林の拡充を図った。
 また、「保安林整備臨時措置法」の有効期間が10年間延長されたことに伴い、主として環境保全を目的とした保安林の計画的配備を進めることとして、保安林整備計画樹立のための調査を開始した。
 更に、都市住民の生活環境を保全するため、49年度から新たに生活環境保全林の整備事業として保健保安林の買入れにつき助成した(3か所)ほか、林相改良等の森林整備を46か所(継続22か所、新規24か所)について実施した。
(3) 森林の保全管理
 健全な森林の維持造成のための森林病害虫等の防除については、引き続き、被害の激しい和歌山、兵庫以西14県において、松くい虫の国営防除事業を実施したほか、都道府県が行う松くい虫防除事業等について助成した。
 森林の適切な管理については、49年度から保安林区域に加えて新たに林野火災などの被害が多発するおそれのある森林レクリエーション地域等、山火事多発危険地域について森林の巡視を実施するとともに、山火事予防施設等の整備を行い、また引き続き火災危険期にポスター、バスステッカー、テレビスポットの放映等による林野火災予防思想の啓もう宣伝活動を全国的に実施した。
(4) 緑化の推進
 国土緑化思想の高揚啓もうを図るため、社団法人国土緑化推進委員会が行う全国植樹祭、学校植林、緑化用苗木の配布、記念植樹等、森林愛護運動等の緑化運動に対し助成した。
 また、財団法人日本緑化センターが行うモデル緑化パイロット事業、情報収集、技術者養成、調査研究等の緑化推進事業に対し助成するとともに、同センターの基金造成につき助成した。

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