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第8節 

1 廃棄物処理の現況

 廃棄物は、主として国民の日常生活に伴って生じたごみ、し尿等の一般廃棄物と、企業等の事業活動に伴って生じた汚でい、廃油等の産業廃棄物とに大別されるが、それぞれの処理の状況は次のとおりである。
(1) 一般廃棄物
 一般廃棄物のうち、まず、し尿の処理状況について見ると、第4-8-1表のとおりである。水洗便所から排出されたものを公共下水道又はし尿浄化槽で処理する方法及びくみ取りし尿をし尿処理施設又は下水道終末処理施設に投入して処理する方法を衛生的処理と呼んでいるが、昭和47年度における衛生的処理率(衛生的処理人口/計画処理区域人口)は、69.0%である。
 このうち、水洗化人口は逐年増加しているが、下水道が普及していない地域における水洗化の要請は、近年し尿浄化槽の高い普及率となって現れ、47年度末におけるし尿浄化槽の設置数は132万基とこの5年間で約2.7倍の増加を見ている。し尿浄化槽は、適正に維持管理し、その定常的な機能を維持する必要があり、これが不十分なときは、放流水質の悪化による公共用水域汚濁の原因ともなる。このため、環境衛生週間等あらゆる機会をとらえ、その設置者に対する啓もう、し尿浄化槽清掃業者の資質の向上等維持管理体制の強化を図っている。なお、し尿処理施設は、47年度末現在、全国で944施設が塚動している。
 次に、ごみ処理の状況について見ると、第4-8-2表のとおりである。現在、おおむね可燃性ごみについては、焼却により安定化、減量化を図り、その焼却灰を埋立処分している。ごみ焼却処理施設は、47年度末現在、全国で1,292施設が稼動している。また、不燃性ごみについては、圧縮、破砕後、埋立処分している。粗大ごみ処理施設は、48年度末現在、全国で126基の施設が稼動している。
 PCB使用部品を含む廃家電製品の処理については、48年度より市町村と家電メーカーとの協力体制の下に、PCB使用部品の抜取り、保管の処置が講じられてきている。
 なお、一般廃棄物の処理は、市町村が処理計画を定め、これに基づいて行う。市町村が実施することが困難であり、かつ、環境衛生上支障がない場合には、市町村長の許可を受けた一般廃棄物処理業者が行うこともできる。


(2) 産業廃棄物
 企業等の事業活動に伴って生じる産業廃棄物は、これを排出する企業の種別に応じて多種多様な性状を有し、その量も膨大なものがある。その排出状況は、参考資料4に示すとおりである。
 事業者は、原材料等の合理的使用、産業廃棄物の再生利用等により、排出する産業廃棄物の減少に努めるとともに、排出の状況に応じた適正な処理を行わなければならないことになっている。しかし、現実には、事業者自ら行う産業廃棄物の処理は必ずしも適正に行われていると認め難く、処理基準に違反した不適正な処理、不法投棄等による環境汚染の例が依然として後を断たない。
 事業者の自家処理を補完するものとして、都道府県知事、保健所を設置する市の市長の許可を得た産業廃棄物処理業者が行う処理があり、48年8月末で許可件数が2,398件となっている。
 このほか、地方公共団体が行う産業廃棄物の処理は、あくまでも事業者責任を前提とした上でこれを補完するものであるが、大阪府をはじめ10府県において、地方公共団体の出資に基づき産業廃棄物処理公社等が設立され、このうち6府県において事業が開始されている。
 なお、設置の届出のあった産業廃棄物処理施設は、48年8月末現在、1,779基である。

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