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第6節 

2 農薬汚染防止対策

 「農薬取締法」により、国内で販売される農薬については、農薬による汚染を未然に防止するため、残留性及び水質汚濁性並びにその毒性についての審査を経て登録を受けなければならないこととされている。審査基準として農薬の登録保留の基準が設定されているが、このうち、作物残留性及び毒性に係る基準については、厚生省が「食品衛生法」の規定に基づいて定める食品添加物等の規格基準のほか、環境庁長官が定める基準によることとなっている。
 農薬に係る食品添加物等の規格基準は、これまで43食品の22農薬について定められているが、今後も引き続き設定作業が進められることとなっている。
 また、環境庁長官が定める基準は、これまで21農薬について定められていたが、49年度に新たに25農薬を加え、46農薬について基準が定められると同時にこれに対応する適正な使用方法も定められた。
 農薬の使用規制については、現に使用されている農薬のうち農作物又は土壌への残留性があり、一定の方法によらないで使用されるとき農作物又は土壌を汚染し、これが原因となって人畜に被害を生じさせるおそれのある農薬にあっては、これを作物残留性農薬又は土壌残留性農薬に指定するとともに、その使用基準を定めて使用方法を規制している。また、水質汚濁性があり、水産動植物や人畜に被害を生じさせるおそれのある農薬にあっては、これを水質汚濁性農薬に指定し、地域を限ってその使用の規制を行うこととしている。なお、水産動物に強い毒性を示すCVP、トリアジン、PCP等54種類の農薬については、水産動物の被害の防止に関する安全使用基準を定め、被害の未然防止に努めている。
 指定農薬及びその他の規制を受けている農薬は、第4-6-1表のとおりである。
 なお、人体への蓄積が問題となっていた有機水銀剤は、48年10月に種子消毒用の銘柄についても登録が失効した結果、全面的に生産、出荷されないこととなった。
 これらの農薬の使用規制等の措置により、第4-6-2表及び第4-6-3表に示すとおり、全体として毒性が強い農薬の使用率が低下し、残留性の高い有機塩素系殺虫剤の使用率も著しく減少しており、毒性及び残留性の低い農薬への移行が顕著となっている。

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