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第3節 

2 地盤沈下対策

 地盤沈下の防止のため、第4-3-1表に掲げる地域において「工業用水法」及び「建築物用地下水の採取の規制に関する法律」(以下「ビル用水法」という。)に基づく地下水採取規制が行われている。千葉県においては、昭和49年8月、これら2法に基づき、指定地域の拡大をみている。このほか、地方公共団体の条例による規制も一部の地域において行われており、最近この種の規制地域が拡大している。
 新潟県及び千葉県における工業用天然ガス採取に伴う地下水の揚水については、行政指導により、天然ガス採取業者による自主規制が行われている。このうち新潟県における採取については、ガス採取後の地下水を地下へ還元すること等により、48年10月以降は地上排水が全廃されている。千葉県における採取についても、千葉市においては51年3月までに採取が全廃され、また、九十九里地域においては同時期までに採取が半減される予定である。
 地下水採取量の抑制を図るためには、地下水採取規制とともに地下水から表流水への転換及び新たな地下水需要の発生の抑止のため、水道及び工業用水道等の整備を図る必要が生ずる。このため、首都圏南部地域等においては、地盤沈下対策の観点を含めたこれらの事業が進められている。特に、工業用水道については、「工業用水法」による規制に対応して建設される地盤沈下対策工業用水道に対して国庫補助金が交付され、その建設の促進が図られており、49年度には埼玉、千葉及び東京の各都県における4事業が前年度に引き続いて実施された。50年当初における地盤沈下対策工業用水道の整備状況は、第4-3-2表に示すとおりである。
 既に著しく地盤が沈下している地域においては、この結果生ずる被害を防止するとともに、洪水、高潮等による災害に対処するため、各種の公共土木事業を実施する必要がある。このため、49年度は前年度に引き続き、河川改修、高潮対策、内水排除施設整備、海岸保全施設整備及び土地改良等の事業が、埼玉、千葉、東京、大阪、兵庫、新潟、愛知等の各都府県において国庫補助事業として実施された。
 以上のような各種の地盤沈下対策を講ずる一方、現行の地下水採取規制制度の改善を含め、より総合的な地盤沈下対策を講ずることにより、地盤沈下の予防の徹底を図る必要があるが、その基本的な考え方については、中央公害対策審議会から49年11月29日に答申された。また、地盤沈下が極めて地域的特性の強い公害であることから、地盤沈下及びそれによる被害の著しい地域については、各地域ごとに講ずべき地盤沈下対策の基本的な方針を確立する必要があり、これについても同審議会の地盤沈下部会において審議が進められている。

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